Azulが好感触、コンピュータリソースは外部供給が常識に?

2005/7/29

 「国内でいくつかの早期導入企業との話が進んでいる。顧客、パートナーの反応はいい」。Javaなど仮想マシンベースのアプリケーションの処理をネットワーク経由で肩代わりして処理するアプライアンス・サーバ「Azul コンピュートアプライアンス」を、国内で6月に出荷開始した米Azul Systemsのバイスプレジデント兼チーフマーケティングオフィサー シャヒン・カーン(Shahin Khan)氏は、国内で好感触を得ているとの認識を示した。

米Azul Systemsのバイスプレジデント兼チーフマーケティングオフィサー シャヒン・カーン氏(右)とシニアディレクターの北島弘氏

 Azul コンピュートアプライアンスは、IBM WebSphereとBEA WebLogic、JBossなどのアプリケーションサーバにイーサネットで接続。アプライアンス内部に構築したJavaの仮想環境に、J2EEとJ2SEのJavaアプリケーションのトランザクションをマウントして、高速に処理する。電子商取引サイトなどでトランザクションの急増があっても、アプライアンスが処理を引き受けるため、アプリケーションサーバの負荷は高くならず、レスポンスタイムが遅くならない。パフォーマンスを向上させるためにサーバを増設する必要もなく、「サーバ統合ができる」とカーン氏はいう。

 「いま進行中の顧客は、90のアプリケーションをAzulで統合しようとしている。Azul導入前は1000台以上のサーバを使っていた」

 アプライアンスの仕組みはストレージを例にすると理解しやすい。サーバには当初、ディスクアレイが内蔵されていた。しかし、今日ではディスクアレイはストレージとして外部に出し、サーバに接続して利用することが多くなっている。特にネットワーク・アタッチド・ストレージ(NAS)、ストレージ・エリア・ネットワーク(SAN)などでは、ネットワーク経由でほかのサーバとストレージを共有する。

 Azulもストレージと同様にサーバからアプリケーションのトランザクション処理だけを外部に切り出したといえる。Azulではこの仕組みを、「ネットワーク・アタッチド・プロセッシング」(NAP)と呼んでいる。カーン氏は「OSに依存する部分と、OSに依存しない部分を分ける。NAPはOSに依存しないトランザクション処理を引き受ける」と説明した。

 Azul コンピュートアプライアンスは、Java仮想マシン環境に最適化された独自開発の64bitプロセッサ「VEGA」を搭載。1チップに24のコアを搭載し、マルチスレッドで複数のJavaアプリケーションを並列処理する。4way、8way、16wayの各モデルがあり、16wayモデルのコア数は最大384。

 「ある金融機関はサーバを増設するために1億ドルをかけて新しいビルを建てる必要があった。しかし、高密度なAzul コンピュートアプライアンスを使えばこの問題を解消できる」

 カーン氏はコンピュータ環境の将来として、サーバにさまざまなリソースを提供するストレージ、ネットワーク・スイッチ、NAPの3機能を「コントロールプレーン」と呼ぶ機器で管理する方法が想定される、と説明した。サーバはコントロールプレーンを通じて必要なときに、必要なだけのリソースを利用することができるようになり、ユーティリティ環境が実現できる。カーン氏は、「Webティアのリソース(NAP)とコントロールプレーンだけがまだ実現されていない」として、NAPの普及を急ぐ考えを示した。

(@IT 垣内郁栄)

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米Azul Systems

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