NetAppに聞く、日本企業がiSCSIを使い始める日

2005/8/24

 米ネットワーク・アプライアンス(NetApp)のエンタープライズ/アプリケーション事業部門担当バイスプレジデント兼ジェネラル・マネージャ リチャード・クリフトン(Richard Clifton)氏は8月23日、iSCSI-SANストレージの国内市場について「日本はスタートは遅かったが、世界よりも成長は速い」との考えを示した。NetAppのワールドワイドでのiSCSIストレージの本番稼働は今年5月に2000件を突破。日本市場でも「今年度第1四半期(5-7月)を見ると、前年度の成長の2倍のペースで(iSCSIなど)IP-SANの分野が伸びている」という。

米ネットワーク・アプライアンスのエンタープライズ/アプリケーション事業部門担当バイスプレジデント兼ジェネラル・マネージャ リチャード・クリフトン氏

 クリフトン氏は国内のストレージ市場について「DASのシステムが多く残っていて、iSCSIストレージが拡大する伸びしろがある」と分析。「コスト削減やインフラのシンプル化などNetApp製品のメリットが理解されれば、DASからNetAppのiSCSIストレージへの移行が加速する」とした。

 ファイバチャネルと比較したiSCSI-SANの最大の特徴は低コスト。IPベースのため既存インフラのスイッチ、ソフトウェアなどを使うことができ、ネットワークインフラのコストを低減できる。また、ファイバチャネルと異なり、ITスタッフが新たなスキルを身に付ける必要がないケースが多い。ストレージに関するTCOを削減できることをNetAppはアピールしている。

 ファイバチャネルとiSCSIは技術的な機能の違いを議論されることが多いが、クリフトン氏の考えでは「(iSCSIなど)IPベースのストレージとファイバチャネルのストレージを選択するポイントは技術ではない。ほとんどの問題はどちらの技術でも解決できる」。多くのサーバをスケールアウトして利用するシステムでは低コストなiSCSIストレージを使用、8way、16wayなどスケールアップするサーバではファイバチャネルを使うなどの使い分けが重要と指摘した。

日本ネットワーク・アプライアンスのマーケティング本部長 高沢冬樹氏

 NetAppが今年重視するのはマイクロソフト、IBMとのパートナーシップ。「iSCSIストレージのほとんどはWindowsサーバをホストとして使っている」(クリフトン氏)といい、マイクロソフトとの協力関係がiSCSIの拡大の鍵になる。クリフトン氏はマイクロソフトが年末にも出荷する予定の「SQL Server 2005」のホワイトペーパー作成や、Windows OSのiSCSIインプリメンテーションでNetAppが協力していると説明した。

 IBMとは今年4月に提携し、NetAppのストレージ製品をIBMにOEM提供することで合意した。日本IBMは8月3日、OEM製品の第一弾としてNAS/iSCSIに対応するストレージ「IBM TotalStorage N3700」を発表した。クリフトン氏はIBMとの提携で「NetAppの市場へのアクセスをさらに広げる」と説明。日本ネットワーク・アプライアンスのマーケティング本部長 高沢冬樹氏は「社員教育や大型顧客への共同提案などでIBMを支援していきたい。NetAppのパートナービジネスの質、量が拡大する」と述べた。

(@IT 垣内郁栄)

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