レッドハット、Linux企業を脱皮し、その先へ

2005/10/5

 レッドハットの副社長は子どもたちにとって「クール」な存在だろうか? 少なくとも、米レッドハット ワールドワイドセールス担当取締役副社長 アレックス・ピンチェフ(Alex Pinchev)氏の息子は自分の父親を格好いいと感じているそうだ。彼らの周りでも“クールな奴ら”は皆Linuxユーザーだという。

米レッドハット ワールドワイドセールス担当取締役副社長 アレックス・ピンチェフ氏

 子どもたちに限らず、全世界のIT業界で従事する大人たちもピンチェフ氏のタイトルをうらやましいと思うかもしれない。米レッドハットの2005年第4四半期の売上高は、前期比42%増の5430万ドル、これまで10四半期連続で右肩上がりの成長を続けている。(2005年第4四半期の)サブスクリプションの契約数は100万に到達した。「現段階ではすでに120万も突破している(ピンチェフ氏)」

 「レッドハットが本当の意味で創業したのは3年前だ」とピンチェフ氏はいう。3年前、同社は企業向けのLinuxディストリビューションをリリースし、同市場に本格参入を果たした。「Red Hat Enterprise Linux 4」では、7種類のCPUアーキテクチャをカバー、750種類のハードウェアデバイスに対応し、1000以上のソフトウェアをサポートするようになった。対応言語は15。25カ国で事業展開をしている。企業向けにビジネスの舵(かじ)を大きく切ったことで、同社の現在の姿がある。逆にいえば、個人向け市場に固執していたら、いまの状況は存在しなかったということでもある。

 とはいえ、オープンソース製品で構成したデスクトップ・パッケージ(Red Hat Desktop and Workstaion)もラインアップとしてそろえているが、このパッケージはあくまで企業向けであり、個人向けにリリースするものではない。同パッケージは、多くのシステムをRed Hat Networkで管理可能なうえ、共通のコードベースにより、Linuxサーバのセキュリティをすべて継承、サーバサイドテクノロジでアクティブディレクトリおよびExchangeとの相互運用に対応するなど、企業向けにチューンナップした仕様である。

 「レッドハットはLinuxの企業ではない」とピンチェフ氏がいうように、同社はLinuxディストリビューション・ベンダという旧来の姿を脱皮し、オープンソースを扱うサービス・カンパニーに生まれ変わろうとしている。ソフトウェアを販売せず(彼らの扱うソフトウェア自体は無料だ)、サブスクリプションと呼ばれるサービス&サポートを収益の柱とする同社は今後、エンタープライズ・コンサルティング・サービスをフルメニュー化するなど、企業向けサービスビジネスの一層の拡大を図っていく。

(@IT 谷古宇浩司)

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