「枯れたOS」、Windows Server 2003 R2とは
2005/10/7
「一番完成されたWindows Server 2003だ。最高のセキュリティ、可用性、安定性を実現する“枯れたOS”といえる」。マイクロソフトのWindows Server製品部 シニアプロダクトマネージャ 高田信純氏は10月6日、マイクロソフトが年内にも出荷する予定の「Windows Server 2003 R2」(R2)についてこう説明した。
R2は、Windows Server 2003 ServicePack1(SP1)をベースに開発。「パッチレベルでも変更がなく、SP1に対応するハードウェアであれば必要最低限のテストだけで移行してもらえる」(高田氏)。R2はActive Directory関連やMicrosoft .NET Framework 2.0、UNIX連携など多数のコンポーネントが追加されるが、「デフォルトではほとんどインストールされない」という。管理者は自らのシステムに必要なコンポーネントだけを追加インストールする仕組みだ。
マイクロソフトのWindows Server製品部 シニアプロダクトマネージャ 高田信純氏 |
R2での主な強化点は「ファイルサーバ&ストレージの効率化」「アイデンティティ&アクセス管理」「ブランチサーバの管理」の3点。ファイルサーバ&ストレージの効率化ではデフォルトでインストールされる唯一のコンポーネントである「マイクロソフト管理コンソール 3.0」に、管理下のファイルサーバのリソースをコントロールできる「ファイルサーバ リソースマネージャ」を組み込んだ。
フォルダごとに利用できる容量を制限できるクォータ管理機能も強化した。設定した容量を超えるデータが保存されそうなときは管理者に電子メールで通知する。SP1まではボリューム単位でしか制限容量の設定ができなかったが、フォルダ単位で設定できるようにし、より柔軟な対応を可能にした。音楽ファイルなど特定の拡張子のファイルを保存できないようにするスクリーニング機能も追加する。
アイデンティティ&アクセス管理は、Active Directoryを強化した。目玉はパートナー企業間など異なる環境のActive Directoryとのシングルサインオンを実現する「Active Directory フェデレーションサービス」(ADFS)の実装。Webサービス技術の「WS-Federation」を利用し、お互いのActive Directoryを認証し合う。ADFSで組織間の信頼を管理することで、お互いのユーザーが別組織のWebアプリケーションを利用できるようになる。「企業を超えたアイデンティティ管理を可能にする」(高田氏)といえ、複数の企業をまたがったビジネスプロセスの構築が容易になるとみている。
ブランチサーバの管理とは、全国の支社や営業所にあるWindowsサーバを中央拠点で統合管理することを指す。分散ファイルシステム機能を強化し、ある支社でファイルサーバがダウンした際に中央拠点に設置したバックアップサーバにリダイレクトする機能などを強化した。
R2は、既存のWindows Server 2003からのアップグレード製品はなく、ユーザーはサーバライセンスを新規で購入する。ただ、ソフトウェア・アシュアランス、エンタープライズ・アグリーメントのユーザーは無償で提供される。Windows Sever 2003 CALは継続して利用できる。提供されるエディションは、Standard、Enterprise、Datacenterと、Windows Small Business Server 2003、Windows Storage Server 2003。
(@IT 垣内郁栄)
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