テープの仮想化で効率的にデータを保管

2005/10/20

 日本IBMは10月19日、テープ仮想化製品1モデルと、テープ装置の新製品2モデルを10月28日に出荷開始すると発表した。包括的なIBM製品の提供を目指すシステム製品事業の新戦略「IBM Systems Agenda」 に沿った製品としては、7月の「IBM System z9」、今月12日の「IBM System p5」に続く第3弾という位置付けである。

日本IBM システム製品事業 ストレージ・システム事業部長 藪下真平氏

 オープンサーバ向け仮想テープ装置「IBM Virtualization Engine TS7510」は、ディスクキャッシュを利用してテープの仮想化を行う。ハードウェア構成によって5TB〜最大46TB(非圧縮時)のディスクキャッシュを搭載する。最大仮想テープドライブ数は1024台。

 日本IBM システム製品事業 ストレージ・システム事業部長 藪下真平氏は、新製品発表の背景をこう語る。「企業システムのデータ量は年率50%で増えているというデータがある。効率的で安価なデータの保管方法が求められている」

 実テープの運用環境で問題なのは、ドライブ準備までの時間である。テープを探してマウントする手間を省くため、テープ自体を仮想化し、物理的な操作を不要とした。また、実テープでは同時に実行するタスク数が物理テープドライブ数によって制限される。仮想テープでは必要なタスクの数だけドライブを設定すればよく、高速なデータ処理が可能となる。「IBMは1980年代から仮想化に取り組んでいた。ディスクとテープの仮想化製品をオープンからホストまでそろえているのはIBMだけではないかと自負している」と藪下氏は胸を張る。

 同時発表のテープライブラリ「IBM System Storage TS3310」は拡張性の高いモジュール型で、最大49TBのテープデータを保管可能。テープドライブ「IBM System Storage TS1120」は1秒に100MB(非圧縮時)のデータ転送が可能で、カートリッジ容量は最大500GB(非圧縮時)だ。

 今回の発表から同社はストレージ製品ブランドを「IBM System Storage」に変更する(以前は「IBM TotalStorage」)。仮想化関連製品ブランドは「IBM Virtualization Engine」となる。

(@IT 長谷川玲奈)

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