IBMのメインフレーム、仮想化によるサーバ統合の中核に
2005/7/29
日本IBM 執行役員 システム製品事業担当 出澤研太氏 |
日本IBMは7月28日、メインフレームの新モデル「IBM System z9」を発表した。従来モデルの「eServer zSeries z990」の後継ラインに位置付けられる。eServer zSeriesからSystem zにブランド名を変更した理由として日本IBM 執行役員 システム製品事業担当 出澤研太氏は「ハードウェア単体の性能をアピールしても仕方がない時代」だからとする。
System z9はz/OSバージョン1.7を含む5種類のOSに対応し、Javaベースのアプリケーションを含む数百のアプリケーションを仮想化可能。かつては手書きで対処していたアプリケーションやミドルウェアは、いまではチップに実装される時代である。そういう意味で、ハードウェアとソフトウェアを厳密に区別することが難しくなっているのは事実。このような背景のもと、同社ではSystem z9をサーバという単体のハードウェアではなく、システムとして提案したいとする。
System z9が想定する役割は、数百の分散型サーバに相当するワークロードの統合管理にある。大規模な分散環境を統合するための技術的な核にシステム全体の仮想化がある。System z9の売りは「30年におよぶ仮想化技術のイノベーションの歴史に基づく、先進的なリソースの仮想化およびワークロード管理」(日本IBM 理事 zSeries事業部長 渡辺朱美氏)だ。eServer zSeries z990のLPARの2倍、つまり最高60の論理区画を持つシステム上に、数百の仮想サーバを作成することができる。JavaおよびLinuxベースのアプリケーションを専用エンジンを通じて、基幹アプリケーションやデータベースと同じプラットフォーム上で実行することができる。
大規模なシステム統合を目的として設計されたこれらの専用エンジン(プロセッサ)には、Javaアプリケーションのコードのみを実行し、統合化の効率的な支援を行う「System z9 Application Assist Processors」(zAAPs)と、仮想Linuxサーバによるサーバ統合を行う「Linux on zSeries and Integrated Facilities for Linux」(IFLs)がある。
同社はSystem z9に合わせ、システム製品事業の中期戦略も発表した。「IBM System Agenda」と命名されたこの中期戦略は、「Virtualization」「Openness」「Collaboration」のキーワードで構成されている。
(@IT 谷古宇浩司)
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