Yahoo!知恵袋が正式版に、女性と初心者に愛される理由は?
2005/11/8
ヤフーは11月7日、Yahoo! JAPANのQ&Aサイト「Yahoo!知恵袋」の正式版を公開した。知恵袋のベータ版サービスが始まったのは2004年4月。ヤフーでは異例ともいえる長期間のベータ開発を経ての正式版公開だ。ヤフーのリスティング事業部 検索企画室 Yahoo!知恵袋プロジェクトリーダー 岡本真氏は「ベータ期間中、表に見えるだけで50カ所、内部では100カ所以上の改善をしてきた」と述べた。Yahoo!知恵袋の利用者に初心者が多いことから、岡本氏が最も注力したのは「操作を簡単にすること」だという。
ヤフーのリスティング事業部 検索企画室 Yahoo!知恵袋プロジェクトリーダー 岡本真氏 |
正式版ではベータ版のいくつかの機能を追加、もしくは変更した。目に付くのはYahoo! JAPAN IDに関するルールの変更。ベータ版ではIDを非公開にしても利用できたが、正式版では必ずIDか、IDにひも付くニックネームを使うことにした。知恵袋ユーザーに対するヤフーの調査によると、62%のユーザーがニックネームを利用すると回答。「責任の所在をはっきりでき、Yahoo! JAPANのほかのサービスとの連携も可能になる」(岡本氏)として決定した。
ベータ版から正式版への移行ではユーザーからの電子メールや、知恵袋内でのサービスについてのQ&Aから、多くの機能や改善点を採用した。気になる質問や回答をYahoo!ブックマークに登録できる機能や、切実な質問ではないおしゃべり、雑談、アンケートなどを登録する専用カテゴリの設置などだ。ほかにも約100カテゴリの新規追加やインターフェイスなどの仕様を変更した。ベータ開発中、機能を追加するとすぐに新機能に関する質問が知恵袋に投稿され、ユーザー間でディスカッションが始まる。「お客様にテスターになっていただいた。手厳しい意見もあり、技術者として鍛えられました」(同社 リスティング事業部 技術 門川百合子氏)。
正式版開始に向けて知恵袋のプロジェクトチームが重視したのは初心者と女性の声だ。Q&Aサイトは知恵袋のほかに、「はてな」「OKWeb」などがあり、いずれも人気が高い。岡本氏はQ&Aサイトの人気の背景を「自分の中のモヤモヤをキーワードとして抽出せずに、そのままの文章で検索できるからではないか」と分析する。一般のWebサイト検索は自分が知りたいことに関連するキーワードを考える必要がある。膨大な検索結果から目的の情報を探すのも大変だ。「しかし、Q&Aサイトは個人のモヤモヤした質問に対して、適切なキーワードや検索結果を回答として教えてくれる。インターネットのWebサイト検索を難しいと考える人には使いやすい」(岡本氏)。
正式版へ向けての開発では初心者が操作を迷うことがないように「使いやすさとシンプルさを追求した」と岡本氏はいう。「操作は複雑になる機能は排除した」。また、Yahoo!検索で1件もヒットしなかった場合に、「情報が見つからない場合は、Yahoo!知恵袋で質問してみてください」と表示するようにし、「初心者の失敗を救えるようにしている」(岡本氏)。
ヤフー リスティング事業部 技術 門川百合子氏 |
知恵袋は女性ユーザーが多く、正式版の開発でも女性ユーザーの意見を積極的に取り上げてきた。IDベースの男女比率は男性65%、女性35%だが、アンケートの回答者ベースでは約70%が女性といい、積極性が目立つ。岡本氏は「調べものに時間をかけるよりも人に聞いたほうが早いと考える合理的な女性に受け入れられているのではないか」と説明した。また、知恵袋プロジェクトのスタッフは知恵袋のユーザーと重なる20〜30代の女性が多く、「ユーザーの立場で使ってみると便利な機能が分かってくる」(門川氏)という。
ヤフーによると、知恵袋はベータ期間中に約647万件の質問があり、解決した質問(ベストアンサー)は約314万だった。総回答数は約2437万件。岡本氏は競合のQ&Aサイトについて「Q&Aの数で競うつもりはない」と述べ、質問者が満足した回答を選ぶベストアンサーの数を1つの指標にする考えを示した。ヤフーは今後、モバイル版の知恵袋を立ち上げる計画。著名な起業家20人がユーザーからの質問に答える企画や、好評だった質問、回答をまとめた書籍の刊行も予定している。
(Yahoo!知恵袋の技術開発、プロジェクト・マネジメントについて解説する記事をNewsInsightに今後掲載する予定です)
(@IT 垣内郁栄)
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