シェアードサービスの鍵は「システム共通化」、アビームが調査

2005/11/9

 「シェアードサービスに成功している企業はシステム共通化を実行している」。アビーム コンサルティングが11月8日に発表したシェアードサービスについての企業調査から、このような傾向が浮かび上がった。調査によるとシェアードサービスを導入して効果を得ていると答えた企業は約半数。ITシステムの共通化、標準化の進み具合によって成功、不成功が分かれるようだ。

 シェアードサービスとは経理・財務や給与・賞与計算、ITシステム管理など、複数の企業や組織が共通して行っている間接業務を集約して処理する業務形態。各社がそれぞれ行う業務を統合することで、効率化やコスト低減が期待できる。

 調査は東証一部上場で連結売上高が2000億円以上、従業員数3000人以上の大企業600社をリストアップし、アンケート調査表を送付。10.8%に当たる65社から回答を得た。65社のうち、シェアードサービスを導入済みなのは71%の46社。計画中が8社で、未検討が8社、検討後に断念したのが3社だった。

アビーム コンサルティングの経営研究部 マネージャー 土方三千代氏

 シェアードサービスを導入している企業のうち、46社は経理・財務で利用。人事は43社、総務は30社、ITは22社だった。購買、営業事務、法務・知財などをシェアードサービス化するケースもあった。アビームの経営研究部 マネージャー 土方三千代氏は「日常のオペレーションが中心だが、内部監査や人事制度など専門性が高い業務をグループ会社に提供する目的で、シェアードサービスを利用するケースもある」と説明した。導入済み企業のうち、68%の企業は子会社を設立してシェアードサービスを提供。グループ外にサービスを提供する外販を行っている企業は35%だった。

 シェアードサービスに関する満足度は二分している。導入した企業のうち、シェアードサービス導入での効果が「期待以上」「期待通り」としているのは53%。一方、「やや不十分」と答えたのは47%だった。シェアードサービスはグループ全体で利用することが理想だが、導入企業のうち40%の企業が「グループ会社への導入は予定通りに進んでいない」と回答している。「グループ会社の理解が得られない」「コストが安くならない」「人員の再配置が困難」などが理由だ。

 アビームはシェアードサービス導入の目的達成度によって、導入企業を「成功企業群」と「不成功企業群」に分類した。そのうえで「プロジェクト推進・管理」「業務プロセス」「人・組織」「システム」について分析。プロジェクト推進・管理では、経営トップの関与がシェアードサービス成功、不成功を分けていて、業務プロセスでは、プロセスの標準化が行われているかや受託会社に対するBPRの実施などがポイントになる。人・組織は、成功企業、不成功企業とも達成度は低い。シェアードサービスの担当者は業務が単調になり、キャリアパスを描けないなどでモチベーションが低下しやすいのが要因。土方氏は「グループ会社とシェアードサービスセンターの人材交流を活発にすることで、両方の業務を経験し、企画・立案と実務の両方を知る人材育成の場として定義することも有用」としている。

 成功企業、不成功企業の差が最も大きかったのがシステム。成功企業ではシステムが共通化、標準化され、システム間の連携も取れている。一方、不成功企業ではグループ各社が個別のシステムを使っていて標準化されていない。また、予算が少なくIT投資が十分でないケースもある。土方氏は「シェアードサービスはシステムの共通化が大前提」としたうえで「すでにシステムを導入済みのグループ会社の場合、既存システムを捨てることに抵抗感があり、大きな障壁になっている」と述べた。

 アビームはシェアードサービスを新規導入する企業と、すでに導入している企業を対象にした「短期診断サービス」を11月末に開始する。担当者などに対してヒアリングを行って、シェアードサービスを導入するうえでの課題や改善案を提案する。期間は6週間からで、価格は1000万円から。今後2年半で20社を獲得し、シェアードサービス事業全体で年間15億円の売り上げを目指す。2008年3月末までに社内のシェアードサービス専門家を100人育成するという。

(@IT 垣内郁栄)

[関連リンク]
アビーム コンサルティングの発表資料(PDF)

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