迫る法規制はSOX法だけではない、NECの温暖化対策システム

2005/11/29

 NECは11月28日、地球温暖化対策推進法に対応し、温室効果ガスの排出量を収集・分析して削減施策の立案などを支援する「温暖化対策ソリューション」の販売を開始したと発表した。第三者機関の検証に対応可能な報告書の自動作成機能や、排出量を削減する最適施策の自動抽出などは業界初の機能で、NEC 市場開発推進本部長 塩川正二氏は、「手前味噌だが、すでに導入している自社内からはかなりの好評価を得ており、自信を持って提供したい商品になった」と語り、今後の展開に自信を見せた。

NEC 市場開発推進本部長 塩川正二氏
 温暖化対策ソリューションは、温室効果ガス排出量算定のための基礎データ収集や報告書の自動作成などを行う温暖化対策支援システム「SustainaSolution/GHG」と、企業ごとの事業特性に沿った排出量の算定方法や排出削減施策立案などをサポートするコンサルティングサービスの2本柱で構成されている。

 2005年2月に京都議定書が発効し、日本は2008年から2012年の5年間に二酸化炭素を中心とした温室効果ガスを基準年より6%削減することを国際公約した。これに伴い、2006年4月には、企業や地方公共団体の事業活動におけるガス排出量の算定・報告・公表を義務化する「改正地球温暖化対策推進法」が施行される。

 さらに、ガス排出量に余裕のある企業が、余裕のない企業に対して金銭で“余裕分の枠”を販売できる国内排出量取引制度も検討されている。今後企業は、コンプライアンスの一環として、改正地球温暖化対策推進法などへの対応をしなければならず、手作業による対応は工数が多すぎるため、現実的に難しいとされていた。塩川氏によると、「経済産業省主導の省エネ法の対象となるのは製造業や電気・ガスなど1万9000事業所、2000社だが、改正地球温暖化対策推進法の規制対象も含めると約2万事業所、3000社が対象となる。2010年には3000億円規模まで市場規模が拡大するだろう」と語り、市場規模を予測した。

 改正地球温暖化対策推進法施行後、企業は規制対策として、会社が出している温室効果ガスの排出量算定などの「現状把握」(Check)、「評価分析」(Action)、“紙のリサイクルに取り組む”など、実際の削減対策を計画する「削減対策の計画」(Plan)、実際に対策を実施する「削減対策の実施」(Do)のPDCAサイクルを行わなければならない。この点について塩川氏は、「このPDCAサイクルは本社主導ではなく、現場主導で行わなければならない。温暖化対策ソリューションではその点を考慮して構築した」と強調した。

「SustainaSolution/GHG」のデモ画面。必要項目を入力すると、温暖化ガスの排出量が自動的に計算され、成分別に表示される
 具体的にSustainaSolution/GHGでは、事業所や部署ごとに電気使用量や工場施設などの基礎データを入力する。そのデータは、環境省のガイドラインに準拠した排出量の算定計算によって、排出量を算定する。そして、削減目標と排出実績の比較や、削減計画の実行管理などを評価・分析機能で行う。次に、削減対策に必要な情報を収集し、目的に応じて最適な(最もコストのかからない)削減計画を提示。第三機関による検証監査に必要な情報を備えた各種報告書を自動生成する。これらの4種類の機能のうち、自動的に最適な削減計画を立案する機能と、検証監査に耐え得る報告書の自動作成機能は、業界初の試みだとした。

 塩川氏は、「作業を自動化することで、6拠点と本社を持つモデル企業で試算した結果、約40%(60人月)の工数削減に成功した」と説明。2006年から2008年までの3年間の売上目標を40億円とした。

(@IT 大津心)

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NECの発表資料

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