NECが「第2の創業の地」に新ビル、全館をブロードバンド化
2005/5/12
NECは5月11日、川崎市中原区の玉川事業場内に高層ビル群「NEC玉川ルネッサンスシティ」を完成させたと発表した。携帯電話事業の開発拠点とする「ノースタワー」が同日に本格運用を開始。2000年4月に稼働を開始した「サウスタワー」と合わせて、NECの1万人の従業員が働くことになる。NECはNEC玉川ルネッサンスシティをIP電話や無線LANなど自社のソリューションのショーケースとしても位置付けていて、「NECのブロードバンドオフィスを実現する」としている。
NEC 代表取締役社長 金杉明信氏 |
1936年に設立された玉川事業場は「NECの第2の創業の地」(NEC 代表取締役社長 金杉明信氏)。地上37階建(高さ156メートル)、地下1階建、延床面積約10万平方メートルのノースタワーは、本社や横浜事業所、我孫子事業所に展開していた携帯電話事業を集結させた。約7000人が働く。ノースタワーは川崎市内で最も高層のビルとなる。
完成したNEC玉川ルネッサンスシティのノースタワー。最寄り駅はJR南武線 向河原駅、東急東横線 武蔵小杉駅 |
サウスタワーは地上26階建(高さ116メートル)、地下2階建、延床面積約8万平方メートル。半導体事業のNECエレクトロニクスやソフトウェア事業のNECシステムテクノロジー、ディスプレイ事業のNEC液晶テクノロジーなどが入居し、約3000人がすでに働いている。金杉氏は「NEC玉川ルネッサンスシティにはNECの成長戦略を担う主力事業を統合した」と語り、成長のドライブ役として期待する考えを示した。NEC玉川ルネッサンスシティの総建設費は約600億円。玉川事業場は周辺のオフィスも含めると1万4000人の陣容になる。
また、会見に出席した川崎市の市長 阿部孝夫氏はNEC玉川ルネッサンスシティの完成について「地域の活性化の面でも喜ばしい。市も地域整備で協力したい」と述べた。
NEC玉川ルネッサンスシティの特徴はIP電話、無線LANなどを全館に整備し、いつでも、どこでも、必要な情報にアクセスできる「ユビキタス環境をNEC自らが具現化」(金杉氏)したこと。無線LANは会議室をはじめ、全館にアクセスポイントを設置。全面的にIP電話を導入し、イントラネットに接続していれば、どこでも個人内線番号で通話可能にした。8000台のIP電話のうち、6500台はPC上のアプリケーションで通話するソフトフォンを導入。グループウェアなどとの連携を簡単にできるようにした。
ノースタワー内の社員食堂。サウスタワーと合わせると食堂の座席は1700席あるという |
無線LANとFOMAの2つの通信方式に対応するNEC製の携帯電話「N900iL」も導入。自席を離れていても、自分宛の内線電話が携帯電話に着信するなどの機能があり、「顧客に対する密着度が上がる」(NEC)ことを期待している。
PCや携帯電話のプレゼンス基盤も整備。無線LANのアクセスポイントと連動することで、「社内(本社2階)」など個人の現在地を、PCや携帯電話で確認できるようにした。
(@IT 垣内郁栄)
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