「来年はジャンプ」、ISSが注力する「異常検知」
2005/12/15
インターネット セキュリティ システムズ(ISS)の代表取締役社長 林界宏氏は12月14日会見し、アクセス権限の管理を支援する「Anomaly Detection」(異常検知)分野の新製品を2006年1−3月期に出荷する考えを示した。アクセス権限のないユーザーがファイルにアクセスしようとしたことを検知する製品で、林氏は「いわゆる日本版SOX法にも対応する。ISSも2004年10月に米国SOX法に対応したが、SOX法対応ではIT部分の整備がかなりの比重を占める」と述べた。
インターネット セキュリティ システムズの代表取締役社長 林界宏氏 |
Anomaly Detection製品はアプライアンスで提供。既存のIPS製品のソフトウェアをベースに開発する。実際にファイルを展開しなくても、権限がないユーザーがアクセスを試みるだけでアラートを発するのが特徴。林氏は「来年はジャンプの年になる」と述べ、日本版SOX法関連の需要が拡大するとの考えを示した。
林氏はまた、未知のコンピュータ・ウイルスをブロックする新製品「Proventia Server」「Proventia Desktop」を2006年6月までに出荷する方針も示した。危険かどうか判断できないファイルを、いったんコンピュータ・メモリ内の仮想環境で実行し、危険性を識別する技術を採用。ウイルス定義ファイルのアップデートが不要で、運用管理が容易になる。林氏は「他社も将来はここに流れていく」として、ISSの先進性を強調した。ISSは既存の脆弱性検査ツール「Internet Scanner」をアプライアンス化し、2006年1−3月期に出荷することも明らかにした。
ISSはアプライアンス製品の拡充を続けている。アプライアンス製品とソフトウェア製品の売上比率は、2004年1−9月期がアプライアンスの63%に対してソフトウェアは37%だった。直近の2005年同期はアプライアンスが79%まで向上。ソフトウェアは21%だった。林氏は「Proventiaシリーズが受け入れられている」と分析している。
ただ、セキュリティ製品は大企業を中心に導入が一巡した感がある。ISSがこれから伸ばしたいのは、顧客ネットワークのセキュリティ対策全般をアウトソーシングで請け負う「マネージド セキュリティ サービス」(MSS)だ。2005年1−9月期のMSSを含むサブスクリプション収入は前年同期と比較して40%増。アプライアンス、ソフトウェアなどのライセンス製品の収入が22%増だったので、MSSは高い伸びを見せている。林氏はMSSの売り上げが2005年1−9月期に5億5700万円で前年同期比58%増を記録したと説明。「今年初めて単年度黒字になる。来年は累損を一掃できる」とした。
2005年1−9月期のセグメント別の売上構成を見ると、サブスクリプションが40.9%なのに対して、ライセンス製品は47.8%。プロフェッショナルサービスは11.3%だった。林氏は「サブスクリプションは45〜50%がベスト」と述べ、サービス拡充を急ぐ考えを示した。
(@IT 垣内郁栄)
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