「企業のエバンジェリストに」、AMDが法人向け新組織立ち上げ

2005/12/16

 日本AMDは12月15日、法人顧客向けの新組織を2006年1月に立ち上げると発表した。パートナー企業に同行し、AMDのプロセッサを搭載したサーバを使ったソリューションを共同で提案する。デル出身でAMDのマイクロプロセッサ ソリューション本部長に就任した多田和之氏は「来年は本格的に企業向けに力を入れる」と述べた。

日本AMDのマイクロプロセッサ ソリューション本部長 多田和之氏

 AMDは1月に市場開発営業(BDE)を発足させる。ハイパフォーマンス・コンピューティングや自動車開発、半導体設計、ビジネス・アプリケーション、ファイナンスなど産業、用途別にソリューションを開発し、エンドユーザーに対してサーバベンダなどのパートナー企業と共同提案する。「エバンジェリスト的な活動になる」(多田氏)という。BDEは5人でスタートするが、ソリューションの拡充に応じて増員する方針だ。

 AMDにとっては企業内で利用するクライアントPCの拡販も課題だ。米ガートナーの調査によると、ワールドワイドの2005年第3四半期のモバイルPCのシェアは、AMDが10.9%。利用場所別にみると家庭でのシェアが最高で15.5%を占める。対して、従業員99人以下の企業では13.7%、100人以上999人以下では5.2%。1000人以上では1.6%で、企業の規模が大きくなるに従いAMDのシェアは低下している。米AMDのモバイルプロセッサ事業部 バイスプレジデント クリス・クローラン(Chris Cloran)氏は「2006年はもっとエンタープライズに気に入られるモバイル向け製品を出す」と語った。

ジャパン エンジニアリング ラボのプロジェクト「Yamato」が開発したモバイルPCのリファレンスモデル

 企業向けクライアントPC拡販のための施策の1つが「Commercial Stable Image Platform」(CSIP)。チップセットのベンダやBIOSのベンダと協力して、クライアントPCのソフトウェア・イメージや構成を最低15カ月間は保持する仕組み。クライアントPCを採用する企業は、15カ月の期間中であれば、既存業務アプリケーションなどのテストを行わずにクライアントPCを導入できる。クライアントPCの仕様が共通化されるため、日常の運用管理も容易になる。クローラン氏は「IT管理者のニーズを考えた」と説明した。

 また、AMDの研究施設「ジャパン エンジニアリング ラボ」(JEL)は、モバイルPCのリファレンスモデル開発プロジェクト「Yamato」の研究成果を同日発表した。AMDのプロセッサ技術とnVIDIAのグラフィックスプロセッサ、チップセットを組み合わせて「Turion 64 Dual Coreで5時間のバッテリライフ実現するモバイルPCの開発を目標」(AMD)とするプロジェクト。あらかじめパフォーマンスや消費電力を検証したシステムを開発し、PCベンダに提供する。PCベンダは検証済みのリファレンスモデルを使うことで開発期間の短縮や開発コストの削減を実現できるという。デモでは複数のビデオを同時に再生する様子を示し、高パフォーマンスをアピールした。

(@IT 垣内郁栄)

[関連リンク]
日本AMD

[関連記事]
初の仮想化対応デスクトップPC用CPUをインテルが発表 (@ITNews)
今年は64ビット、来年はデュアルコアの年〜インテル (@ITNews)
“毒舌”なしのマクニーリ氏、AMD Opteron搭載サーバを紹介 (@ITNews)
早くもどろどろ――AMDとインテルの法廷合戦、国内も開始へ (@ITNews)
周波数を上げずに性能を10倍に、インテルが考えたこととは (@ITNews)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)