Mozilla Japanの現状と今後、オープンソースの経済的価値
2005/12/17
Mozilla Foundation 理事 伊藤穣一氏 |
Mozilla Japanは12月16日、都内で記者会見を行い、同組織の現状と今後の展開を発表した。Mozilla Japanの組織体制に若干の変化があった。理事に、Mozilla Foundationの理事でもある伊藤穣一氏が就任、彼を通してMozilla Japanは米国とのパイプを強めることになる。また、XML技術顧問として国際大学の村田真氏を迎え、同技術のアドバイスを受ける体制を作った。
Mozilla Japanは有限責任中間法人であり、理事の瀧田佐登子氏によると「Mozilla Foundationと(Mozilla Foundationの100%子会社である)Mozilla Corporationの中間的な位置付けにある組織」だという。活動内容は、Firefox、Thunderbirdの日本語化、テストやバグ修正に加え、パートナー企業と連携した導入サポート、セミナーの開催、Web標準化作業の推進など、基本的には従来からの作業を継続して行っていくことに変わりはない。ただし、「現時点でMozilla Japanはパンク状態」(瀧田氏)というほど、作業量とスタッフのリソースのバランスがとれていない。Mozilla Japanが開始したパートナー企業と連携した導入サポートについても、「担当者は数人。決して多いとはいえない」(同)状況だ。
11月30日に最新バージョンの1.5をリリースしたWebブラウザ「Firefox」は2004年11月のリリース以来、およそ1億ダウンロードを達成している。Mozilla Foundationが8月3日に発表したプレスリリースによると、「(中略)Firefoxそのものと、Firefoxをめぐって形成されている商業的生態系の両方において、大きな経済的価値を生み出してい」るとある。Forefoxというオープンソースプロダクトが具体的にどの程度の経済的価値を持つものかは不明だが、ライバルのWebブラウザ「Opera」は(2005年12月から)数カ月以内には従来の販売収入を、グーグルに顧客を誘導することで得られる金額が上回るとしている。Operaの2005年4〜6月期の販売収入は約1億2500万円だという。Firefox1.5においてMozillaは、米国および欧州においてグーグルとの検索パートナーを継続し、中国、日本、韓国、台湾ではYahoo!とのパートナー関係を締結している。
「Web上のトラフィックを誘導することがビジネスとして成立しているのは確か」と伊藤穣一氏がコメントするように、Web上で大多数のユーザーの支持を集めれば、それをカネに変える仕組みはすでにいくつもできている。ちなみに伊藤氏によると、グーグルがトラフィック誘導のために支払う金額は「年間20億ドル以上」だという。
(@IT 谷古宇浩司)
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