MS Office以外のデスクトップ環境があってもいい、サン

2004/5/19

サン・マイクロシステムズ 代表取締役社長 ダン・ミラー氏(左)と常務取締役 営業統括本部長 末次朝彦氏(右)

 サン・マイクロシステムズは5月19日、x86プラットフォームで動作する統合デスクトップ環境「Sun Java Desktop System」(JDS)の販売を開始すると発表した。マイクロソフトOfficeの独占状態ともいえる企業のデスクトップ環境に「選択肢を提供する」(常務取締役 営業統括本部長 末次朝彦氏)存在として、同社が満を持してリリースするシステムである。

 JDSは、SUSE LinuxをベースとしたOS(SuSE Linux Desktop 1.0 Variant)を採用し、オフィスツールも「GNOME 2.2」「Ximian Evolution 1.4」「Mozilla 1.4 browser」「OpenOffice.org 1.1」(StarSuite 7のベースとして)を始め、多くのオープンソース・コンポーネントを活用しているのが特徴。2種類の年間ライセンスを用意している。1つは企業の従業員数に応じたライセンスモデルで、1ユーザー当たり年間5500円(税別)の使用ライセンス料金を設定している。もう1つはインストールするPCの数量単位で提供する場合で、1台のコンピュータ当たり年間1万1000円(税別)である。

 オープンソース・コンポーネントを中心に構築しているとはいえ、インターフェイスは極めてWindowsライクなLook&feelを採用している。ファイルやプリンタの共有といったWindows環境との相互運用性についても「問題はない」(末次氏)。MicrosoftのOfficeやほかのオフィスツールとの差別化点は、前述したような「シンプルで安価な価格設定とオープンソース技術の応用によるセキュリティの高さ、運用コストの低さにある」(末次氏)。同社の試算によれば、デスクトップ500台を5年間運用することを想定してはじき出したTCOは、JDSで2億625億円、Windowsで3億6750億円だった。

 全デスクトップを単一のコンソールから管理可能な点も同社が強調する点。OSやパッチ、アップデートの全デスクトップへの一括リモートインストール、デスクトップ上のソフトウェアのバージョン管理、パフォーマンス管理などを1台のコンソールで行うことができる。

 SuSE Linux Desktop 1.0 VariantのほかのLinuxディストリビューションへの対応および、Solarisのサポートも行っていく予定。

 サンが発表したこのデスクトップ環境は、中身こそ違うけれど、5月17日に日本IBMが発表した「IBM Workplace」戦略と同列で論じられるもの。しかし、サンとIBMのデスクトップ環境に対するアプローチはJavaという共通項を持ちながらもかなり違う。IBMは、顧客の既存資産を守るためにほぼプラットフォームフリーのデスクトップ環境を提案しているのに対し、サンはハードウェア込みでLinuxをベースとした(IBMと比較すれば)“限定した”デスクトップ環境を提案している。末次氏は「率直にいって、管理の混乱さを考えれば、サンの提案の方が(管理が)楽」だと述べる。

(編集局 谷古宇浩司)

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サン・マイクロシステムズの発表資料

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