SOX法はアーキテクチャで攻めろ、オラクルが製品体系化

2006/1/27

 日本オラクルは1月26日、日本版企業改革法(SOX法)の施行をにらみ、企業のコンプライアンス対応やガバナンスを強化するアーキテクチャ「オラクル・コンプライアンス・アーキテクチャ」を発表した。同アーキテクチャは既存製品と新製品で構成。日本オラクルの取締役 常務執行役員 アプリケーション事業推進本部長 保科実氏は「コンプライアンスに必要なITの対応を個別のポイントソリューションで対応すると、トータルソリューションと比較して10倍のコストがかかる」と指摘。「1つで全体をカバーするアーキテクチャを見据えて対応するのが重要だ」と述べ、オラクルの優位性を強調した。

 同アーキテクチャは「データ管理」「セキュリティ、認証管理」「エンタープライズ・コンテンツ管理」「業務プロセス、コントロール」「プロセス・リンク管理」「コミュニケーション、教育」「事業戦略、業務目標の設定と測定」の項目で構成。それぞれの項目に対して製品が割り当てられている。従来からある製品をコンプライアンスの観点から整理した内容といえる。「ポイントではなく、アーキテクチャ・ソリューションを語れるのがオラクルと他社の最大の差と考える」(日本オラクル 執行役員 システム事業推進本部長 三澤智光氏)

オラクル・コンプライアンス・アーキテクチャの構成

 保科氏はコンプライアンスを強化するには、業務プロセスにITを導入し、自動化する「業務効率化」と、業務プロセスの文書化、社内への徹底を行う「内部統制」、内部統制状況の把握と分析、情報開示を行う「可視化」の3つが重要と指摘した。

 この3項目をオラクル・コンプライアンス・アーキテクチャの各製品に対応させると「業務効率化」は業務アプリケーションのOracle E-Business Suite(EBS)と、現場レベルのフローチャートを作成するOracle Tutor。「内部統制」はEBSのモジュールであるOracle Internal Controls Manager、Oracle Learning Management。「可視化」がOracle Daily Business Intelligence、Oracle Financial Consolidation Hubなどのコーポレート・パフォーマンス管理(CPM)製品となる。

 オラクルが特に注力するのがOracle Internal Controls Manager(ICM)。ICMは米国の企業改革法に合わせて投入された製品で、国内では2004年10月から本格展開している。内部統制の定義からプロセスの文書化、評価の実施、改善、内部統制の認証と、内部統制に関する一連の業務を管理する。EBSと統合されているため、「日々のオペレーションとひも付けて内部統制を管理できるのが特徴」(日本オラクル アプリケーション事業推進本部 川腰晃夫氏)という。

日本オラクルの取締役 常務執行役員 アプリケーション事業推進本部長 保科実氏

 オラクルによるとICMには国内で100件弱の引き合いがすでにあり、5社と共同でパイロット・プロジェクトを行っている。プロジェクトの成果から内部統制に関するICMのテンプレートを開発することも検討している。また、2006年夏にも、企業全体の会計データを統合するOracle Financial Consolidation Hubと連携できるICMの新バージョンを発表する予定。連結決算処理と内部統制評価の両プロセスの処理状況を同時に照会できるようになり、財務報告の正確性が増すという。

 オラクルはまた、オラクル・コンプライアンス・アーキテクチャの発表に合わせて、ユーザーIDやアプリケーションのアクセス権を集中管理できる製品群「Oracle Identity and Access Management Suite」を発表した。オラクルが2005年に買収したOblixのCOREid製品も含まれるスイート製品で、オラクル環境、非オラクル環境を問わずにユーザーIDの統合管理が可能になる。2月27日に出荷を始める。

 オラクルはパートナー企業との協業も強化する。特にコンサルティングファームとは、内部統制に関するコンサルティングメニューの共同開発で連携する考え。オラクルはすでにベリングポイントとの協業を発表しているが、リスク管理コンサルタントのプロティビティ ジャパンとも協力する。

 日本オラクルの代表取締役社長 新宅正明氏は、仙台市の東北支社からWeb会議システムを使ってあいさつした。新宅氏は2006年の戦略分野として「ビジネス・コンティニュイティ管理」「日本版SOX法、内部統制管理」「セキュリティ強化」の3つを挙げた。

(@IT 垣内郁栄)

[関連リンク]
日本オラクルの発表資料(オラクル・コンプライアンス・アーキテクチャ)
日本オラクルの発表資料(Oracle Identity and Access Management Suite)
手早く分かる「日本版SOX法ポータル」開設

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