WebDAVで「リコー複合機はオラクル製品の入出力端末に」

2006/2/7

 日本オラクル、リコー、伊藤忠テクノサイエンス(CTC)の3社は、リコーの複合機とオラクルのコラボレーション製品「Oracle Collaboration Suite 10g」(OCS 10g)を組み合わせたソリューションの開発・販売で協業したと2月6日に発表した。内部統制を強化する流れの中、紙文書の管理を再考する企業が今後増えると判断。複合機と業務アプリケーションの連携ソリューションを提案する。

 リコーは自社の複合機「imagio」にWebDAVインターフェイス対応機能を追加する。WebDAVに対応することで、インターネットを経由したファイル共有が可能になる。リコー複合機でスキャンして読み込んだ文書のデータを、クライアントPCを使わず、OCS 10gに直接登録できる。OCS 10gに登録されたデータは自動で認証ワークフローに載せることが可能。OCS 10gにはレコード機能があり、登録データを更新不可にし、一定期間保存するレコード文書として管理できる。複合機の液晶操作パネルでOCS 10gに保存してある文書を呼び出して、PCを使わずに出力させることも可能だ。

リコーの販売事業本部 ソリューションマーケティングセンター ソリューション企画室 室長 平岡昭夫氏

 リコーの販売事業本部 ソリューションマーケティングセンター ソリューション企画室 室長 平岡昭夫氏は「内部統制の観点からドキュメント管理システムが望まれている。とはいえ、いまだ契約書や請求書、発注書などは紙ベースで使うことが多く、情報化の妨げになっている」と指摘。「複合機とOCS 10gが連携することで紙文書を電子化でき、ドキュメントのライフサイクル管理が可能になる」と述べた。

 一般のオフィス内だけでなく、PCを設置しにくいショップや倉庫、工場などに複合機を設置し、読み込んだ文書をWebDAVを介してインターネット経由で本社のOCS 10gに登録する使い方も可能だと説明した。「リコー複合機はOCS 10gの入出力端末になる」

 リコーの複合機はNetBSDで稼働。Java 2 Platform Micro Edition(J2ME)に対応し、Javaアプリケーションが稼働する。液晶操作パネルのカスタマイズもできる。「保守レポート」「契約書」などスキャンする文書の設定を登録したボタンを液晶操作パネルに表示する機能もある。WebDAVに対応できるのは、2005年1月以降に発売した複合機。

 協業はソリューション開発を日本オラクルとリコーが担当し、システム構築・販売はCTCとリコーが行う。複合機の新製品出荷に合わせて今夏にも提供開始する。CTCはOCS 10gを使ったオフィスシステム「eWork@CTC」を社内で使っていて、複合機を含めた社内システム構築のノウハウがある。

 CTCのITエンジニアリング室 ミドルウェア技術部 部長 藤岡良樹氏は「最終的にはWebサービス連携を考えている。Oracle BPEL Process Managerを使ってほかのシステムを含めてワークフロー管理、ビジネスプロセス管理を連携できるようにする。複合機からERPのファイルにアクセスできるようにするかもしれない」と述べた。

 3社が提供するシステムは複合機、サーバ、クライアントのライセンス、システム構築を含めて1000ユーザーで4000〜5000万円の価格帯になる見通し。サーバは7〜8台設置する。初年度に30社の獲得、30億円の売り上げを目指す。リコーは業務アプリケーションと複合機の連携で、大塚商会とも協力している。平岡氏は「大塚商会との協力は中堅向けERPが中心。大企業向け業務アプリケーションではオラクル、または他社と協力したい」としている。

(@IT 垣内郁栄)

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日本オラクルの発表資料
リコー
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