カスペルスキーのUNIX製品に特化した会社設立も、波乱の幕開け

2006/2/11

 元カスペルスキーラブスジャパン代表取締役社長のヘンドリック・アドリアン(Hendrik Adrian)氏は2月10日、カスペルスキーのUNIX製品を取り扱う会社ケイエルジェイテックを1月に設立したと発表した。ケイエルジェイテックは、カスペルスキーラブスジャパンとの当別技術提携パートナーシップを締結し、パートナー企業としてカスペルスキーのUNIX関連製品の販売・サポートを行う。

ケイエルジェイテックの代表取締役社長に就任したヘンドリック・アドリアン氏。発表会中にパートナー企業に問い詰められる一幕も
  カスペルスキーは、1997年にロシアで設立されたウイルス対策ベンダ。自社開発したウイルス対策エンジンを多くのセキュリティベンダにOEM提供しており、ウイルス対策エンジンのOEMとして世界トップシェアを持つという。東欧で開発した独自のヒューリスティック解析技術を採用することで、他社エンジンとの併用ができるほか、ウイルス定義ファイルを1時間に1回更新している点が特徴だ。

 カスペルスキーラブスジャパンでは、カスペルスキーのソフトウェア製品やOEMを中心に提供してきた。しかし、「UNIX関連製品は、ほとんど日本からロシア本社に要望を出して、対応してもらっていた。しかし、それでは対応スピードに限界があるため、UNIX関連製品に特化した会社の設立を思い立った」(アドリアン氏)と説明した。ケイエルジェイテックには、カスペルスキー本社の資本は入っていないという。

 今後は、UNIX製品に関しては主にケイエルジェイテックが販売とサポートを行う。カスペルスキーラブスジャパンもUNIX製品を取り扱うが、Windows関連製品に関しては引き続きカスペルスキーラブスジャパンのみが取り扱う。

 アドリアン氏は、「従来、カスペルスキーラブスジャパンはソフトウェアしか扱わなかったため、ウイルス対策サーバを顧客が求めた場合にはサーバを顧客に用意してもらい、それにインストールして提供していた。UNIX系ではこのようなアプライアンスの要望が強いので、今後は当社で開発したアプライアンス製品を提供する予定だ。製品ラインアップは、ゲートウェイ型のウイルス対策製品や、プロキシ型ウイルス対策製品などを予定している」と説明した。

 なお、発表会では、カスペルスキーラブスジャパンのパートナー企業が、アドリアン氏やカスペルスキーラブスジャパン経営陣に対して、今後の契約状態に対して説明不足であると指摘。今後の契約形態などに対して、事前に説明がなかったと言及。声を荒げて詰め寄る一幕もあった。今後、そのほかのパートナー企業との間でも、同様の問題が発生する可能性もある。

(@IT 大津心)

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ケイエルジェイテック

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