「SOAは夢の仕組み」、ついにSOA本格対応を始めたIBM
2005/9/15
企業システムの構築で大きなトレンドとなっているSOA(サービス指向アーキテクチャ)。すでにSOA環境対応のミドルウェア製品として、BEAシステムズが「AquaLogic Server」を、オラクルが「Fusion Middleware」を発表している。9月14日に日本IBMが「IBM WebSphereプロセス統合製品」を発表したことで、大手ベンダのSOA対応がまた1つ進展した。
日本IBM ソフトウェア事業 WebSphere事業部長の山下晶夫氏。SOAではサービスを一度つくれば再利用でき、生産性やTCOの向上は計りしれない」 |
SOAの意味について、同社ソフトウェア事業 WebSphere事業部長の山下晶夫氏はJavaを例に出し、「Javaは、Windowsやメインフレームといったことを意識せずに実行でき、プラットフォームの仮想化を実現した。SOAは、その先でアプリケーションの仮想化だ。コンポーネントを組み合わせるだけで、新しいバリューを作り出すことができる。夢のような仕組み」と発言。企業のインフラとしてSOAが正しい方向であることを強く訴えた。
さらに山下氏はIBMのSOA製品の特徴は「ビジネスの見える化」だとした。「プロセッサやメモリの状況だけでなく、アプリケーションで何が起きているか、ビジネスで何が起きているかが分かるようにする。夜にバッチを回して集計し、昼になってから『在庫が足りませんでした』では遅い。いまビジネスでなにが起きているかをシステムから取り出せる、というのが大きなアピールポイント」(山下氏)
IBMが発表した今回の製品には、業務のモデリング、サービスの組み合わせ、アプリケーションの実行、実行環境のモニタという4つの機能を持つ製品が含まれている。
業務のモデリングには「WebSphere Business Modeler」を利用する。業務分析に基づいたモデルをグラフィカルに表現すると、その内容がBPEL(Business Process Execution Language)となって出力される。それに基づいてサービスを組み合わせ、アプリケーションを構築するのが「WebSphere Integration developer」だ。
実行環境としては、ESB(Enterprise Service Bus)機能を備えた「WebSphere Process Server」と、状況をモニタする「WebSphere Business Monitor」が登場する。いずれの製品も9月30日出荷予定だ。
こうしてベンダからは続々とSOA対応製品がでてくる一方で、国内でSOAを採用した事例はほとんど表だって発表されていない。「一体どこにSOAを実装した企業の事例があるのか?」という疑問の声も、上がっている。IBMでは、同社が今秋に主催するSOAのイベントで、「国内の事例も紹介できる予定」(同社執行役員 三浦浩氏)とし、SOAでの企業システムの構築が夢物語でないことを示すつもりだ。
(@IT 新野淳一)
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日本IBMの発表資料
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