コンプライアンスが米金融界を動かす〜BEA
2006/3/3
米BEAシステムズで金融業界を担当する同社ファイナンシャル・サービセズ・ソリューションのディレクター、ジョン・ナポリ(John Napoli)氏は3月2日、東京都内で米金融界におけるSOA化の現状を説明した。
米BEAファイナンシャル・サービセズ・ソリューション・ディレクター、ジョン・ナポリ氏 |
米金融界では現在のところ、SOAへの移行を現実に開始した企業は少数で、多くは企業統治委員会での決定に従って、今後プロジェクト・ベースでの移行を進めようとしている段階。
しかし、米国の金融機関は、SOX法に加え、金融業界に特有の反マネー・ロンダリング法やバーゼルIIプログラムなど、各種の規制に対応しなければならず、SOAの重要性が高まっていると、ナポリ氏はいう。
2002年にSOX法が制定されるなど、これまでの数年間は規制ラッシュだった。企業側はそれぞれの規制への対応を、主に手作業で毎四半期繰り返さなければならない状態になっている。これはコストの点で負担が大きすぎ、今後こうした作業の自動化が進む見込みだという。
バーゼルIIの遵守については、欧米における銀行の上位63行のうち28行が、2007年にかけて6000億ドルを使うと予測されている。しかしこのうち、Basel IIで求められている対策のいずれか1つを実装したのは、現在のところ3行のみであるという。
規制への対応をうたい、多様な企業向けリスク/コンプライアンス管理ソフトウェアが提供されている。しかし、例えば調査会社のフォレスター・リサーチは、大部分が一部の機能しか提供しておらず、組織全体についてのリスクと法令遵守を管理できるシステムが求められると指摘している。
しかし、金融機関では目的別に多様な特化型システムが構築されているのが通例。法令遵守に必要な情報を統合し、柔軟に活用するため、SOAを採用するケースが増えてきているとナポリ氏は話した。
例えば米BEAでは、ある国際的な大手銀行で、反マネー・ロンダリング法に対応するためのSOAに基づくソリューション構築支援を行った。この法律では、銀行の取引情報を、規制当局の危険人物リストと照合したり、疑わしい取引を報告しなければならないことになっている。
同銀行では、内部の各部門による顧客情報関連データベースを統合し、リスク管理のための全社的な情報リポジトリを構築、各法人や個人と同銀行との間での全取引履歴を、その種類にかかわらず追跡できるようにした。さらにこれを、外部のリスク情報データベースと連結させ、自動的に照合が行えるようにした。この情報リポジトリの情報は、社内のオペレーション・スタッフに加え、規制当局や監査担当者などに幅広く利用されるようになったという。
米BEAシステムズは3月1日(米国時間)、ビジネスプロセス管理(BPM)ベンダのフエゴを買収したと発表した。同社のラインナップに欠けていたBPMの部分を補完し、SOAに関して全てのソリューション・コンポーネントを提供できるベンダとしてビジネス拡大を目指す。
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日本BEAシステムズ
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