アウトソーシングの新時代、サービスメニューは細分化せよ
2006/3/3
日本IBM 常務執行役員 ITサービス事業担当 橋本孝之氏 |
日本IBMは3月2日、ITサービス事業部門内に、コンサルティングからシステム構築までを一元的に提供する「インフラストラクチャー・ソリューション事業部」を設置したと発表した。同事業部の設置により、コスト削減を売り文句とした従来型のアウトソーシング形態の脱却を狙う。
2月23日に発表した日本IBMの2005年度決算報告によると、同社のサービス事業は前年比5%の減収だった。新規契約件数の減少や、既存契約案件の効率化が減収の要因とされる。常務執行役員 ITサービス事業担当 橋本孝之氏は「(日本IBMの)アウトソーシング事業がピークだったのは1999年から2000年にかけて」と話す。当時の経済環境の厳しさは、情報システム面に限っていえば、企業にコスト削減と安定稼働を要求した。同社に持ち込まれるアウトソーシング案件の動機もそれらが主流であった。しかし、日本経済は復興の兆しをみせ、かつてのアウトソーシング需要を支えていたニーズは時代遅れとなった。同社のサービス事業における売り上げの前年比減は時代の流れを反映した結果といえる。
「サービスの中身を変えていかないとアウトソーシングビジネスはもたない」。橋本氏はそう話す。情報システムの運用管理を請け負ういわゆる電算室型のアウトソーシング形態では、次世代の企業ニーズをすくい上げることができない。メインフレームやPCサーバおよびネットワークといった情報システムの基盤面だけではなく、アプリケーション面、さらには、企業の経営にまで踏み込んだITサービスの提供が、次世代型のアウトソーシング形態であると同社は判断した。その結果、2006年1月にITサービス事業部門を大きく再編成することになった。
再編成のポイントは、(アウトソーシングを)ビジネス面とインフラストラクチャ面に分けること、そして、これまでは顧客ごとに個別対応だった体制を「メインフレーム・オペレーション」「サーバ・システム・オペレーション」「ネットワーク・オペレーション」といったように10分野の共通項ごとに分け、顧客に対しては横串対応ができるようにして効率性を高めることの2点。
アウトソーシングのビジネス面では、専門のコンサルタントを置き、顧客企業のビジネスプロセス改革にまで踏み込んだサービスを展開することになる。橋本氏が担当するのはアウトソーシングのインフラストラクチャ面である。従来型のアウトソーシング形態もニーズに応じて緩やかに保持しながら、「テクノロジサービス&ネットワークサービス」を展開する部門と保守サービスを展開する部門を加えて、新鮮味を出した。冒頭の「インフラストラクチャー・ソリューション事業部」は、「テクノロジサービス&ネットワークサービス」に属する事業部となる。
(@IT 谷古宇浩司)
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