イー・モバイルがエリクソンの設備を採用、「ドコモは分割を」と千本CEO
2006/3/14
イー・アクセスとイー・モバイルの代表取締役会長兼CEO、千本倖生氏 |
イー・アクセスは3月13日、子会社のイー・モバイルを通じて同社が事業化準備中の次世代移動体サービスについて、エリクソンのコア・ネットワーク設備と基地局設備を採用すると発表した。
イー・モバイルはW-CDMAの高速データ通信仕様「HSDPA」(High Speed Downlink Packet Access)による高速モバイルサービスを予定している。今回の発表は、同サービスにおけるソフトスイッチをはじめとしたコア・ネットワーク設備、そして関東・中部・関西地域における無線基地局の提供ベンダとして、エリクソンを選んだというもの。3地域以外の地域の基地局設備に関しては未定という。
イー・アクセスでは、今回の契約は導入サポートや保守を含めたパッケージ契約だが、ベンダ・ファイナンスは受けないと説明している。
一方、端末については国内外の多数のベンダと話している段階で、まだ何も決まっていないとしている。
イー・モバイルは、2007年3月に通信サービス、2008年2月に音声サービスを開始予定。いずれもサービス開始当初は、対象地域が関東・中部・関西地域に限られる。したがって、実質的に同社のサービスは、少なくとも当初の期間、エリクソンの設備で運用することになる。
イー・モバイルは、最終的に5年程度で日本国内に約1万5000の基地局を設置する計画だが、初期段階では基地局設備の不足を緩和するため、ほかの事業者とのローミングも行う。
イー・アクセスとイー・モバイル2社の代表取締役会長兼CEOを務める千本倖生氏は、今回の発表のために来日したエリクソン代表取締役社長兼CEO、カール−ヘンリック・スヴァンベリ(Carl-Henric Svanberg)氏を、「携帯を世界で動かしているリーダー」と紹介。エリクソンを選択した理由については、3Gや3.5Gの商用サービスを世界的に立ち上げつつある実績、日本国内での豊富な経験、そして「われわれの本領であるモバイル・ブロードバンドで標準化を引っ張っている点」を挙げた。
左からイー・アクセス/イーモバイル代表取締役会長兼CEO 千本倖生氏、同代表取締役社長兼COO 種野晴夫氏、エリクソン代表取締役社長兼CEO カール−ヘンリック・スヴァンベリ氏、日本エリクソン代表取締役社長 ローリー・バックレイ氏 |
スヴァンベリ氏は、世界中でHSDPAを採用した3.5Gのモバイル・サービスの商用化が進行していると説明。エリクソンは17カ国、21ネットワークに対して納入業者としての支援を行っていると話した。また、オールIP化の基盤となるIMSについても、18件の納入先で現在稼働中であり、37件でトライアルを実施中であると述べた。イー・モバイルも利用を検討しているMobile WiMaxについては、「エリクソンはいくつか関連の特許を持っているが、あくまでも補完的な技術だと考えている」と話した。
ソフトバンクによるボーダフォン買収の動きについて千本氏は、「これだけのリスクをとれるのは日本の経営者の中で(ソフトバンク社長の)孫さんしかいない。そういう意味では尊敬する」と話す一方、「1.7G帯は新規参入用に割り当てられたもの。(買収が確定した場合)総務省はソフトバンクへの割り当てを撤回すべき」と話した。
また、同氏は日本の携帯電話市場の現状について、「NTTドコモ1社が市場の6割近くを占めているのは明らかにいびつだ。例えばイギリスでは4社がそれぞれ20数%のシェアを持ち、いい競争が起きている。マーケットのオープン化が足りない。(この状況を変える)1つの案はNTTドコモの分割であり、私は当然やるべきだと思う」と語った。
(@IT 三木泉)
[関連リンク]
イー・アクセスの発表資料
日本エリクソンの発表資料
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