日本型MVNOでは端末も重要? アクセンチュアが支援事業

2006/3/18

 アクセンチュアは3月16日、同社が実施したMVNOユーザー利用意向調査および市場予測の結果を発表するとともに、同社が国内で本格的なMVNO支援事業を開始したことを明らかにした。

 移動体通信事業者から回線の卸売りを受け、自社ブランドで提供するMVNO(仮想移動体通信事業者)は、既存移動体事業者間の競争激化と新規事業者の参入で、回線を借りやすい環境が整いつつあることから、改めて注目を浴びている。

 アクセンチュアでは今年3月に同社がインターネット上で実施したユーザー利用意向調査の結果、移動体通信事業者の回線開放意向、同社が聞き取り調査したMVNOプレーヤーの参入意欲の3つの要素を加味して、国内におけるMVNOサービスの契約者数予測を算出。これによると契約数は2010年に261万〜325万、2015年では1070万〜1337万に達すると予想されるという。

アクセンチュアの通信・ハイテク本部メディア・通信統括エグゼクティブ・パートナー 馬場昭文氏(右)と通信・ハイテク本部エグゼクティブ・パートナー 武田智和氏(左)

 コンテンツを含めて高品質なサービスを既存事業者が提供している国内市場は、MVNO事業者にとって参入ハードルが高いのは事実。しかし、「さまざまな制約が原因で公式サイトになれないが訴求力の高いニッチコンテンツ」はビジネスになりやすいと、同社の通信・ハイテク本部メディア・通信統括エグゼクティブ・パートナー 馬場昭文氏は指摘する。また、利用意向調査結果を踏まえると、「端末のスタイルや使いやすさなども重要」(通信・ハイテク本部エグゼクティブ・パートナー 武田智和氏)という。

 ユーザー利用意向調査で利用中の携帯サービスへの不満を聞いたところ、端末の機能・操作性を挙げた人が17.2パーセント、端末のデザインを挙げた人は13.8パーセントと、料金、通話地域についで多かった。

 アクセンチュアは、海外ではすでにMobile ESPN、Disney Mobileなど、15件以上のMVNO支援実績を持つが、これをベースとして、国内でMVNO支援ビジネスを立ち上げたことを明らかにした。2005年末から準備を進め、現在では50人態勢で取り組んでいるという。

 アクセンチュアのMVNO支援事業は、戦略コンサルティングからシステム・インテグレーション、ビジネスプロセス・アウトソーシングまでをカバーする。

 同社では、戦略立案から他社との連携まで包括的な支援を提供できるという。

 また、通信業のビジネスプロセス支援システムとしてアクセンチュアが国際的に提供しているパッケージ、「Accenture Communication Solution」(ACS)を活用し、最短3カ月で包括的なITシステムを構築できるという。ACSは日本市場のニーズに合わせたカスタマイズを終えており、ACSを知る日本人コンサルタントは100人以上いるという。

 「システムを自前でつくれば数十億円から数百億円かかる。これを数億円で実現可能だ」(武田氏)

 また、端末開発テストやコールセンターなどのアウトソーシングでは、リスク/プロフィット・シェアモデルでの柔軟な料金体系を用意しているという。

 アクセンチュアでは、MVNO事業を考えている企業に対して同社のサービス利用を働きかける一方、移動体通信事業者とMVNO支援を一括して行う契約を結ぶ形での事業展開も進めていく考えだ。

(@IT 三木泉)

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