ブルーコートのWAN高速化技術は“マッハGO GO GO”となるか

2006/3/24

 ブルーコートシステムズは3月23日、広域ネットワーク(WAN)上で企業アプリケーションを高速化する技術「MACH 5」(マッハ5)を発表した。同社のWebセキュリティアプライアンス「ProxySG」上で動作する新OS「SGOS 5」(2006年5月リリース)に組み込まれる予定だ。

 MACH 5のMACHは「Multi-protocol Accelerated Caching Hierarchy」の略で、HTTPやExchangeメッセージ(MAPI)、ファイル転送(CIFS)、ビデオ・ストリーミング(RTSP、MMS)、そしてSSL通信をWAN上で高速化するプラットフォームだ。大きく5つの機能(帯域幅管理、プロトコル最適化、オブジェクトキャッシュ、バイトキャッシュ、gzip圧縮)で構成されている。

 企業がWANの高速化を求める背景には、コスト削減とコンプライアンスがある。例えば、複数のデータセンターやリモートオフィスに分散して設置されるサーバを統合し、一元管理による効率的な運用を目指すといったニーズだ。ところが、元来LAN環境で利用することを想定して作成されたシステムをWANへ単純に移行しただけでは、十分なパフォーマンスが得られないといった課題が浮き彫りになった。

ブルーコートシステムズ 代表取締役社長 河田英典氏

 MACH 5が目指すWANの高速化とは、特定のWebアプリケーション利用の高速化を目指すポイントソリューションではなく、SSL通信を含むマルチプロトコルへの対応だ。例えば、セールスフォースのASPサービスを利用するためには高速なSSLネットワークが必要となる。

 また、アウトソースの比重が大きくなると、本社で働くユーザー数が減少し、リモートオフィスや在宅勤務が増加する。そのときに必要となるのは、ライブストリームあるいはオンデマンドのビデオ通信の高速化である。

 ブルーコートによれば、企業のトラフィックの50%はSSL通信であり、モバイルや在宅勤務ユーザーの70%がSSLを使用している。さらに、同社の顧客の68%が外部にホスティングされたWebアプリケーションを利用しているという。

 新たにブルーコートシステムズの日本法人で代表取締役社長に就任した河田英典氏は、「Webブラウザをインターフェイスとするアプリケーションが一般化してきており、通信におけるセキュリティの確保と効率化が重要な課題だ。業務に関連しないWebサイトのフィルタリング、メッセンジャー、WinnyやSkypeなどのPtoPソフトの制御、スパイウェアのブロックなど、Webを使ううえでの有効な制御が求められている」と分析する。また、「2006年度の日本のセキュアコンテンツ配信市場の60%のシェア、売り上げ目標40億円を達成したい」と意気込みを語った。

 ちなみに、昭和40年代に放送されたアニメ「マッハGO GO GO」は米国でも「SPEED RACER」として放映され人気を博しており、MACH 5の発表に合わせて来日した米Blue Coat Systemsのスティーブ・ムラニー(Steve Mullaney)マーケティング上級副社長も「SPEED RACERは私も楽しみに見ていた」とコメントしている。主人公の乗るレーシングカー「マッハ号」の米国名は「MACH 5」である。

(@IT 岡田大助)

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