「共同ファブはベストではない」、TI社長が批判

2006/3/31

 米テキサス・インスツルメンツ(TI)の社長 兼 CEO リッチ・テンプルトン(Richard K. Templeton)氏は3月30日会見し、国内半導体メーカーなどが動きを見せている共同ファブについて「TIにとってはベストではないし、顧客にとってもベストではない」と批判した。TIは約30億ドルを投じて、300ミリウェハーによる65ナノプロセス半導体の新工場を米国テキサスに新設するなど投資意欲が強い。テンプルトン氏は「R&Dに投資し、独自開発を続ける」と強調した。

米テキサス・インスツルメンツの社長 兼 CEO リッチ・テンプルトン氏

 国内ではNECエレクトロニクス、ソニー、東芝の3社が45ナノのシステムLSIプロセス技術の共同開発で合意。東芝は日立製作所、ルネサステクノロジとの共同ファブを検討するなど合従連衡が続いている。しかし、テンプルトン氏は「私の考えではプロセス開発や量産を自分たちで管理できるのがタイム・ツー・マーケットのベストの方法」と主張。「自社1社がコントロールすることで最先端技術を享受できる。TIはこれまでの過去5年において130ナノ、90ナノ、65ナノで成功してきた」と述べ、自社の技術力やR&D投資に自信を見せた。

 テンプルトン氏の自信を裏打ちするのは携帯電話向けチップでの成功。TIの3G携帯電話向けアプリケーションプロセッサ「OMAP」は2005年度に前年度比2倍の出荷を記録。「3G携帯電話のトップ7社のうち、6社と取り引きしている」(テンプルトン氏)といい、OMAPを搭載した3G携帯電話は110種類に達するという。

 OMAPはプロセッサにDSPコアを組み込み、アプリケーション開発のためのソフトウェアやサポートを含めて提供する「プラットフォーム製品」。携帯電話の開発ベンダはOMAPを活用することで、コストを抑えて短期間でデバイスを開発できる。TIはこのプラットフォーム戦略をデジタル家電でも採用する方針で、2005年9月にはDSPをベースにした新プラットフォーム「DaVinci」(ダビンチ)を発表した。DaVinciプラットフォームに基づく新プロセッサをサンプル出荷していて、テンプルトン氏は「DaVinciの最初の顧客は日本企業になると考えている」と期待を示した。

(@IT 垣内郁栄)

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日本テキサス・インスツルメンツ

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