HP担当者が語る、OSSが優れている理由
2006/4/14
米ヒューレット・パッカード(HP)のOpen Source&Linux Chief Technologistであるビーデイル・ガービー(Bdale Garbee)氏は4月12日、「オープンソース&Linuxテクノロジー・フォーラム2.0」で講演し、HPとオープンソースコミュニティとの密接な関係を強調した。
米HP Open Source&Linux Chief Technologist ビーデイル・ガービー氏 |
ガービー氏自身、1995年以来のDebian GNU/Linuxのコントリビュータ。過去に1年半ほどDebianプロジェクトのリーダーを務めたこともある。まずガービー氏はコミュニティ開発モデルの利点について説明した。コミュニティによって開発・サポートされていることがLinuxや多くのオープンソースソフトウェア(OSS)の重要な特徴だが、それが意味するのは「単独の会社に仕切られず、さまざまな能力や動機を持った、国籍も文化的背景も異なるコントリビュータが集まっていること」であり、「多様性が開発プロジェクトそのものを強化する」という。
ガービー氏はその多様性が「選択の自由」を生むと語った。具体的にはユーザーがサポートを得る際、単独の会社からではなく複数社からの最適解が得られる、ユーザー自身が開発者になれる、または費用を払うことで開発を依頼できる、開発者がソースを持って枝分かれ(fork)することができるなどだ。
こうした開発プロセスの結果として、LinuxなどのOSSには非常に優れたものが多くなり、企業も採用を検討し始めた。しかし導入に当たってはリスクを感じている。そこでHPがマーケットを先導してコミュニティと協力し、インフラを最適化し、サービスを提供することで顧客のOSS導入をサポートするということだ。
「HPのビジネスにおいて、LinuxやOSSを今年および将来の事業計画に盛り込んでいない部分はない」とガービー氏は主張する。Linuxの堅牢性や一貫性、コミュニティの価値を重視し、ディストリビュータやISVとも協力してソリューションを提供するとの考えを示した。
ガービー氏によれば、HPはLinux Internationalなどの組織、多くのオープンソース関連イベントのスポンサーになるなどで開発を支援してきた。Linuxとオープンソースにフォーカスした開発者が社内に2500人以上いるほか、60以上のOSSプロジェクトをHPがけん引する形で行っているという。単に開発するにとどまらず、HP全社員が電子メールの送受信、Webサイト閲覧、チャット、社内ネットワークへのアクセスの際にOSSとLinuxを使用しているという。
HPのオープンソースコミュニティへの参加は「共生」だとガービー氏はいう。HPの顧客がOSSから得られる価値はLinux以上に大きく、HPはコミュニティへの活動に貢献するとともにその利益を享受し、顧客が自社内の問題を解決するサポートをしていくとの姿勢を示した。
(@IT 長谷川玲奈)
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