日立の05年度決算、PM浸透で情報通信部門の収益向上

2006/4/28

 日立製作所が4月27日発表した2005年度連結決算は、売上高が前年度比5%増の9兆4648億円、営業利益が8%減の2560億円で増収減益となった。当期純利益は28%減の373億円。セグメント別では情報通信システムが営業利益で25%伸びるなど好調だった。特にソフト/サービスが大きく伸びた。日立製作所の執行役副社長 三好崇司氏は「プロジェクトマネジメント(PM)が向上し、アウトソーシング事業も好調だった」と説明した。

日立製作所の執行役副社長 三好崇司氏

 情報通信システムの売り上げは前年度比4%増の2兆3609億円だった。営業利益は846億円。アウトソーシング事業が9%成長し、同事業の売り上げは1380億円に拡大した。アウトソーシングを含めたソフト/サービスの営業利益は72%増の836億円になった。売り上げは4%の増加。ソフト/サービスの営業利益の拡大には、システム構築におけるプロジェクトマネジメントの向上も寄与した。

 三好氏は「プロジェクトを可視化し、顧客に対する工程の透明度を上げた」と説明した。「2004年度には子会社のプロジェクトマネジメントの失敗で赤字が出たが、2005年度はプロジェクトマネジメントを全社に徹底した。赤字が出そうになると損失の引き当てを行うが、大きな引き当てはなくなってきている」と語った。

 ハードは売り上げが4%増の1兆3051億円。営業利益は95%減の10億円だった。ハードディスクドライブ(HDD)事業が270億円の営業赤字を出し、大ブレーキになった。HDDとディスクアレイサブシステムで構成するストレージ事業は売り上げが10%増加。メインフレーム、オフコン、UNIXサーバなどのサーバ事業は7%の減収。クライアントPCとIAサーバのPC事業はマイナス9%だった。通信ネットワークは売り上げが2%減。2006年度下期にはHDD事業を黒字化させる考えで、2006年度は情報通信グループ全体の増収増益を見込んでいる。

 日立は2006年度の重点施策としてコンサルティング事業の拡大による提案力の向上を挙げた。国内外のコンサルタントを2005年度の1200人から3000人体制に強化する。日本と米国、欧州のコンサルティング子会社間の連携も密にする。さらにシンクライアントPCのセキュアクライアントソリューションや指静脈認証システムなどのセキュリティビジネスを積極展開。2005年度に引き続き、アウトソーシング事業も拡大する。

 新事業では先日発表した内部統制ソリューションに力を入れる。RFID・トレーサビリティソリューションや放送と通信の融合に対応した製品、サービスも強化。「BladeSymphony」やルータの次世代機の開発にも投資する。合わせて日立グループ内に共通のITシステムを導入し、ITの運用コストを年間100億円低減することを目指す。

(@IT 垣内郁栄)

[関連リンク]
日立製作所の発表資料

[関連記事]
2010年には2億台のHDDを出荷〜日立GST (@ITNews)
日立新社長 古川氏、エクセレントカンパニーへの道 (@ITNews)
日立新社長に古川氏、「次世代をインスパイアしたい」 (@ITNews)
自社のSOX法経験でコンサルティングを展開、日立ソフト (@ITNews)
日立、日本版SOX法関連で3年間300億円の売り上げ目指す (@ITNews)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)