自社のSOX法経験でコンサルティングを展開、日立ソフト
2006/4/25
日立ソフトウェアエンジニアリングは4月24日、企業の日本版SOX法対応を支援する「内部統制再構築ソリューション」を、同日より順次販売開始すると発表した。
これは、日立ソフトが2006年2月に公開株式買い付けにより関連会社化したビジネスブレイン太田昭和と連携して提供するサービス。公認会計士による会計業務のコンサルティングノウハウと、日立ソフトが自社の米国SOX法対策に関する経験からくる知見を組み合わせて提供する。
内部統制ビジネス推進本部副本部長の中村輝雄氏 |
日立ソフトでは、米国SOX法に対応するため、2006年4月の外国企業に対する適用開始に向けて、2004年2月から作業を進めてきたという。作業の中で一番工数がかかったのは業務プロセスの文書化。4カ月にわたる作業で、A3サイズの文書1000枚、文書化された業務フローに関連して洗い出されたリスク要因は約700に達したという。統制状況の確認テストにおよそ3カ月を要した。
こうした経験から、「SOX法対応作業には最低でも9カ月かかる」と、同社総合企画本部本部長で内部統制ビジネス推進本部副本部長を兼ねる中村輝雄氏は述べた。日本版SOX法と呼ばれる金融商品取引法が2009年3月期の監査より適用されると見られることから逆算すると、今年の夏までには業務プロセスの文書化作業の山を越えていなければならないだろうという。そこで日立ソフトは、同社の経験を生かしたコンサルティングをしてほしいという顧客からのリクエストに応えるため、サービスとしてメニュー化したとしている。
コンサルティングの内容は、内部統制構築のための内部統制の文書化および統制状況の確認テストに関する支援と、内部統制システムを運用していくために必要なITシステムの導入の2つに大別される。同社では今後2年間で今回のコンサルティングサービスにより約30億円の売り上げを獲得したいとしているが、そのうち3000〜5000万円は文書化やテストに関する支援、残りは文書管理やアーカイブ関連などのITシステムが占めるだろうという。
日立ソフトでは、顧客1社当たり3億円程度の売り上げで、10社を目標としている。日立グループのほかの企業からも、内部統制関連コンサルティングサービスが発表されているが、同社では特に製造業に焦点を絞り、金融や公共、電気・ガスなどは日立製作所本体に任せるという。
日立ソフトでは、今回のコンサルティングサービス提供により、顧客におけるITニーズを業務の視点から理解し、より大きなビジネスにつなげていくことを影のテーマとしている。「例えば経理システムのSOX法対応については、当初運用でカバーするかもしれないが、その後全体最適のための再構築を行うことが考えられる」(中村氏)。また、従来は顧客の提示したITシステムの要求仕様に対して、入札などの形で応じるにとどまっていたが、今回のコンサルティングを通じて業務フローを理解することにより、より自発的にシステムの提案を行うことも可能になるという。
(@IT 三木泉)
[関連リンク]
日立ソフトの発表資料
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