インテル、今後は電波事業に全力を投入?

2006/4/28

 インテルは4月27日、報道関係者向けの説明会「クライアント・レギュラー・アップデート」を開催。国内の無線LAN事情やUltra Mobile PC、65nm多値セルNOR型フラッシュメモリなどについての現状が説明された。

インテル 代表取締役共同社長 吉田和正氏
  冒頭、インテルの代表取締役共同社長 吉田和正氏は2006年4月までを振り返り、「今年はまだ4カ月程度しか経っていないが、早くもいろいろな発表を行った。新ブランドロゴやviivに始まり、つい先日にはvProもローンチした。これで、モバイル向けの『Centrino』、コンシューマ向けの『viiv』、エンタープライズ向けの『vPro』と3大ブランドがそろったことになる」とコメント。PCの国内市場については、「2006年は停滞気味と予測されているうえに、Windows Vistaの出荷遅れなどの影響も懸念されているが、当社はあまり影響は少ないと考えている。しかし、国内市場の活性化は最も力を入れて取り組んでいかなければならない点だ」と述べた。

 次に、台湾における取り組み「Common Building Blocks」を取り上げ、ノートPCにおいてもパーツの標準化を進め、安価なホワイトボックス的なノートPCの必要性を訴えた。日本国内のワイヤレスブロードバンド事情については、「法整備が大きく進展した」と評価。WiMAXやIEEE 802.11nの進ちょく具合を説明した。WiMAXでは、KDDIが実電波による実証実験に成功したことや、NTTドコモなどのそのほかの通信事業者も実証実験用無線局の免許を取得するなど取り組みを強化しており、「通信事業者が、実際に割り当てられた電波で実験を行うことは、実現に向けて大きく前進している。しかし、電波に関しては各国の事情がことなることから、国ごとに対応していく必要がある。当社は、電波獲得のためにリソースの多くを投入し、ユビキタス実現に貢献したい」とコメントした。

 続いて、マーケティング本部長の阿部剛士氏が登壇。Ultra Mobile PC(UMPC)などについて語った。同氏はUMPCの位置付けを「PDA以上、A5ノートPC以下に位置する現在存在しない新しいマーケットを創出していく。そのためには低電力化が最重要課題で、Low Power Intel Architectureを採用することで、CPUのTDP(熱設計電力)を現在の10分の1程度となる0.5Wを2008年〜2009年を目標に完成させたい」と語った。

 また、同社が行ったアンケート結果を例に出し、UMPCに求められる要件に「よいインターネットの視聴ができること」「幅広いメディア形式に対応できること」「ゲームが十分に楽しめること」「多機能機器であること」の4点を挙げた。阿部氏は、UMPCの価格目標を「500〜800ドルが目標だが、800ドルでは高過ぎるだろう。300ドルでコンテンツを含んだサブスクライブ型なども検討中だ。マイクロソフトのOrigamiと関係はあるが、Origamiありきではなく、OSについては柔軟に対応していく」とコメントした。

 次に同社が新たに開発した65nm多値セルNOR型フラッシュメモリを紹介。90nmプロセスと互換性を保持しながら、書き込み速度が約2倍になったほか、容量が1Gbytesに増量したという。最初のサンプルを2006年6月に出荷し、2006年第4四半期から量産出荷を開始する予定だ。

 筑波のデスクトップ・ラボでは、日本市場のニーズに合わせてさまざまな研究を行っているという。例えば、日本市場で特に重視される熱や音の評価や解析などを行っている。静音への取り組みでは、ISO7779準拠の音響評価チャンバーを設置し、音圧やパワーを測定・解析し、ノイズや音圧を改善。静音PCの改良に取り組んでいるという。

(@IT 大津心)

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