Windows Vistaの新フォント「メイリオ」で生産性が向上?

2006/5/17

 マイクロソフトは5月16日、報道関係者向けの説明会を実施し、次期Windowsである「Windows Vista」に搭載予定の新日本語ClearTypeフォント「メイリオ」と、同じくVistaでサポート予定であるJIS漢字規格「JIS X 0213:2004」に関する説明会を実施した。

マイクロソフト ディベロップメント プログラムマネージャー 阿南康宏氏
 新OS「Windows Vista」では、2004年に改正された最新のJIS漢字規格「JIS X 0213:2004」(JIS2004)をサポートするほか、画面上での可読性を高めるClearType技術を採用した新デザインフォント「メイリオ」を採用する。メイリオによって、画面上での読みやすさを向上させたほか、JIS2004をサポートすることで「印刷標準文字と同じ読みやすさを提供できるようになる」(マイクロソフト ディベロップメント プログラムマネージャー 阿南康宏氏)と説明した。

 Windowsは現在、JIS第1水準とJIS第2水準漢字(6355文字)をベースとしたシフトJIS漢字と、JIS補助漢字(JIS X 0212に規定されている5801文字)を加えた計1万2156文字の漢字を標準フォントとして組み込んでいる。しかし、阿南氏は「Windowsが採用しているシフトJIS字体と、印刷で用いられる印刷標準文字の間に表記上の標準がなく、混乱があった」と問題点を指摘。文部科学省や経済産業省、法務省などの関係省庁が集まって標準を確立。マイクロソフトも標準化を受けてこれを全面的に採用し、Windows Vistaではこの標準に準拠したJIS2004をサポートする。

 Windows VistaでサポートするJIS2004の文字セットでは、従来と比較して約900文字の漢字が追加されるほか、印刷標準字体との整合性を図るため、MS書体の96文字が印刷標準字体へ変更される。また、英語の発音記号や記号、アイヌ文字など約200文字の非漢字も追加する。これにより、Windows Vistaでは「高校レベルの教科書であれば、ほぼ網羅しているはず」(阿南氏)という。

 字体の変更による混乱を避けるため、同社ではJIS2004への移行支援策を用意。まず、Windows Vistaには、MSゴシック体やMS明朝体などの旧JIS90互換MS書体をJIS2004MS書体に替えて提供する。また、Windows XPやWindows Server 2003にはJIS2004MS書体をWindows Updateで提供し、徐々に移行を進めていくとした。

 新フォント「メイリオ」は、画面上での日本語文章の可読性を高めるClearType技術を採用し、新しくデザインされたフォント。Windows XPでもClearType技術は搭載しているが、欧文フォントだけの対応で日本語フォントには対応していなかった。メイリオではその点、欧文と和文を同時に開発を開始し、和文と欧文を併記しても違和感なく調和できるように調整したという。

 米マイクロソフト アドバンスド リーディング テクノロジー アーキテクト グレグ・ヒチコック(Greg Hitchcock)氏は、メイリオの開発開始を同社会長のビル・ゲイツ(Bill Gates)氏に報告した際、「メイリオに存在する多くの課題に難しい質問を投げかけてきた。しかし、ゲイツ氏も新しい日本語フォントの必要性を認識しており、承認してくれた。このフォントによって画面上の視認性が向上し、文字を以前より早く読めるようになるだろう。つまり、生産性の向上になるといえる」と語り、メイリオの誕生秘話とメリットをアピールした。

(@IT 大津心)

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