富士通が内部統制支援を開始、社内実践「PROJECT EAGLE」を活用
2006/5/18
富士通は5月17日、社内実践のノウハウやテンプレート、コンサルティング、ITシステムなどを組み合わせた「内部統制強化支援ソリューション」の提供を開始すると発表した。日立製作所やNEC、NTTデータなど大手ITベンダやシステム・インテグレータがすでに内部統制ソリューションを発表しているが、富士通は「他社とは視点が違う。財務報告の信頼性だけでなく、業務のプロセス改革を訴えていく」(同社 経営執行役常務 平田宏通氏)としていて、社内実践をベースにソリューションを組み立てていく考えだ。
富士通は社内の業務プロセスの改善組織として「The FUJITSU Way推進本部」を2005年6月に設けて、業務プロセス改革を行う「PROJECT EAGLE」を開始。同年10月から全社プロジェクトとして拡大し、内部統制構築の実践を行ってきた。同年12月には社内3プロジェクトでパイロットテストを完了。今年7月からは全社での内部統制構築を開始する予定。合わせて約6000ある社内の業務プロセスを標準化などで半減することを目指す。
富士通のコンサルティング事業本部 プリンシパルコンサルタント 小村元氏 |
内部統制強化支援ソリューションは、PROJECT EAGLEで蓄積してきた業務プロセス改革、内部統制構築のノウハウがベースになる。富士通のコンサルティング事業本部 プリンシパルコンサルタント 小村元氏は、「PROJECT EAGLEは社内で人を育てるのも目的」と話し、プロジェクトにかかわった人材をソリューション担当に投入すると説明した。
「内部統制強化コンサルティングサービス」「内部統制ライフサイクルマネージメントソリューション for SOX」「教育・研修サービス」が主な柱。コンサルティングサービスは、業務プロセスの文書化を支援する。社内実践や海外のコンサルティング子会社の事例から文書化のテンプレートやプロジェクト管理のテンプレートを開発し、顧客に提供。ビジネスプロセス・マネジメントツールの「Valuevison」を活用し、内部統制構築で使用する業務概要文書、プロセスフロー文書、リスクコントロールマトリクス(RCM)の内容が同期できるようにする。
財務会計の信頼性向上としては、ERPパッケージ「GLOVIA」の完全論理仕訳機能を使い、業務プロセスと財務情報の整合性を確保する。
ライフサイクルマネージメントソリューション for SOXは、富士通のIT基盤「TRIOLE」をベースに内部統制構築プロジェクトを支援するためのプロジェクト管理製品、内部監査支援製品、文書化製品、文書管理製品を組み合わせる。
また、教育・研修サービスは、顧客企業内で内部統制構築プロジェクトをリードするスタッフがプロジェクト管理や業務処理統制、IT全般統制を学べるサービス。今秋までに1000人以上の受講を見込む。eラーニングと集中研修があり、富士通は集中研修の拠点として8月にも「内部統制研修センター」(仮称)を開設する。同センターは教育・研修サービスだけでなく、コンサルティングやサポート、デモンストレーションの拠点にする計画で、「内部統制強化支援ソリューションの窓口にする」(富士通)。
内部統制強化コンサルティングサービスは300万円から、ライフサイクルマネージメントソリューション for SOXは個別見積り、教育・研修サービスは7月開始で1人5万円から。小村氏は「富士通は他社と比べると後発だが、社内の実践を優先してきた。このノウハウを顧客に提供したい」と話した。
(@IT 垣内郁栄)
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富士通の発表資料
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