EMC、NetAppに挑戦の3PAR、国内市場で本格始動

2006/6/7

 ハイエンドからミッドレンジをカバーするストレージベンダの3PARが、日本市場における本格的なオペレーションを開始した。同社は6月6日、東京都内で日本戦略に関する説明会を開催。現在すでに全社売り上げの11%を占める日本市場での売り上げを、3年以内に20%へ引き上げることを目標に、国内での活動を展開していくと宣言した。

 米3PARは5月10日に日本法人の設立を発表したが、6月6日には同社製品の導入・保守でユニアデックスと提携したことを明らかにした。3PARはネットワーク経由で同社製品の診断やメンテナンスを実施する仕組みを持っているが、ユニアデックスはこれを活用しながら、オンサイトでの導入・保守作業やコールセンターによる顧客サポートを7月10日より提供するという。

米3PARの社長兼CEO デビッド・スコット氏

 米3PARの社長兼CEO デビッド・スコット(David Scott)氏は、「日本は約3年前に、米国における製品の立ち上げと同時に売り上げを達成した市場。すでにネットワンシステムズや日商エレクトロニクスが販売代理店として活動しており、約30社への納入実績がある。今後は販売パートナーを2、3社増やすなどして、3年以内に日本市場での売り上げを全世界の20%に増やしたい」と語った。

 3PARの主力製品である「InServストレージサーバ」シリーズは、EMCの「DMX」シリーズやネットワーク・アプライアンス(NetApp)の「FAS6000」シリーズと競合する拡張性を持ち、ハイエンド・ハイエンド・ストレージ市場に食い込んでいる。一方、最小構成では約2.3Tバイトからの構成が可能で、EMCでいえばミッドレンジをカバーするCXシリーズとも競合する。

 同社のハードウェアの特徴は、効率的なディスク利用とボリューム拡張の容易さにある。

 InServでは物理ディスクを256Mバイトという細かな単位に分割し、これをベースとして論理的なディスク利用を構成する。基本的に全てのボリュームのデータを物理ディスク全部にわたってストライプし、並行的なI/O処理によるアクセスの高速化を図っている。ボリュームは書き込み発生時に自動的に拡張され、物理的なディスクドライブ構成の制約を受けないため、高いディスク利用効率を実現できるという。

 物理ドライブの追加と、これに伴うボリュームの拡張も、稼働中のアプリケーションを停止することなしに、ほとんど自動的に実施される。新規ドライブへのデータの移動時に、旧ディスクブロックに対する書き込みが発生したとしても、書き込みデータはいったん保持され、後に反映されるようになっている。

 3PARの主力顧客は、金融機関をはじめとする大企業とサービスプロバイダ。スコット氏は、「日本では特にスペース利用効率と電力消費が重要な問題となっている。3PARの製品はこうした日本のニーズに、確実に応えることができる」と自信を見せた。

(@IT 三木泉)

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3PARの発表資料

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