KDDIが海を越える広域イーサネット、DION漏えいの新事実も

2006/6/22

 KDDIは6月21日、広域イーサネットを海外に拡張した新サービス「KDDIグローバル・パワードイーサネット」を9月に開始すると発表した。レイヤ2スイッチによる複数拠点間に対応した広域イーサネットの国際化は日本で初めてといい、KDDIは2〜3年で30億円程度の売り上げを目指している。

KDDIの代表取締役社長 小野寺正氏

 KDDIは東京電力系の通信会社、パワードコムを1月に吸収し、パワードコムが展開してきた広域イーサネットサービスを取り込んだ。従来から提供しているIP-VPNサービスと合わせて、グローバル化する企業のニーズに対応する。

 KDDIグローバル・パワードイーサネットの提供は米国からはじめ、年内に香港、シンガポールで開始。2007年3月末までに中国、来年度は英国、韓国で提供する。米国ではレベル3、欧州ではブリティッシュテレコムのネットワークを利用。アジアはKDDIの独自ネットワークを利用し、広域イーサネットを海外でも利用できるようにする。
 
  多対多の構成が可能で、「複数の海外拠点を結ぶイントラネットを経済的に構築できる」(KDDI)。帯域は9Mまでは1Mごとに提供。10Mからは10Mごとに提供する。100M以上の帯域提供にも対応する。「ビット単価では国際専用線やIP-VPNよりも安くなる」(同社 代表取締役社長 小野寺正氏)という。国際データ通信の広帯域化やIP以外の通信プロトコルの利用を求める企業に提供する。

 既存のIP-VPNサービスは東京、シンガポールをハブとしてアジアを中心に展開している。KDDIの独自ネットワーク、設備を利用し、冗長化したサービスを提供。10Mまでの帯域をサポートする。より高速なKDDIグローバル・パワードイーサネットと組み合わせて利用することもできる。KDDIは中国の現地社員数を増員中。インドに拠点設立を申請中で、ロシア、東欧でも拠点設立を検討するなど国際サービスの拡充を急いでいる。

DION以外の個人情報も漏えいが判明

 小野寺氏は6月13日に発表したDIONからの情報漏えい(関連記事)に関連し、DION以外のユーザーの個人情報も漏えいしていたと同日発表した。漏えいしていたのは、ほかのISP経由で申し込み、KDDIが提供する050電話番号のIP電話を利用しているユーザー1892人分と、同社の決済サービスなどを利用していた法人顧客997社の情報。IP電話のユーザーに対してはKDDIとISPが連名で謝罪、法人顧客についてはKDDIの営業担当者が説明、おわびする。新たに発覚した漏えいは、6月13日に発表した漏えい総数399万6789人に含まれるため、総数は従来と同じ。

 小野寺氏は、ユーザーの信用情報などへのアクセス権限やeラーニングの実施状況などこれまでの社内のセキュリティ対策を、6月末までに再点検すると説明した。7月末までに再発防止策、セキュリティ対策ををまとめて8月上旬に発表する予定。流出経路については「捜査の問題があり、詳細は述べられない」とした。

(@IT 垣内郁栄)

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KDDIの発表資料

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