マイクロソフト、次期仮想マシン機能の概要を説明

2006/6/22

米マイクロソフトで仮想サーバ機能を担当するマーク・キーファー氏

 マイクロソフトは6月21日、東京で開催したイベント「WinHEC2006 Tokyo」で、同社の次期仮想マシン機能「Windows Server Virtualization」(仮称)の概要を紹介した。米国のWinHECでは、ビル・ゲイツ会長自らLonghornの目玉の1つとして紹介したのがこの機能だ。

 これは次期WindowsサーバOS「Longhorn」(コードネーム)の一部エディションにおける機能として提供される。従って、該当エディションを購入する限り、この機能の利用は無償となる。同機能の提供がLonghornの出荷に間に合うかどうかは未定で、現在のところ「Longhorn出荷から180日以内には提供開始」とされている。

 Windows Server Virtualizationは、64ビットCPUとAMDあるいはインテルの仮想化支援技術を実装したハードウェアのみに対応している。「64ビットCPUに対応ハードウェアを限定したのは、32ビットプラットフォームが持つメモリ空間での4Gバイトの制限を打破するとともに、1台の上で多数の仮想マシンを動作させられるようにするため。また、ハードウェアにおける仮想化支援技術なしでは、すべてのコンテキスト・スイッチングをソフトウェアで実行しなければならなくなる。オーバーヘッドを低く抑えるためにはハードウェアによる支援が必要」と、米マイクロソフトのCOSD-Windowsカーネル・プラットフォーム開発チームグループ・プログラム・マネージャー マーク・キーファー(Mark Kieffer)氏はいう。

 同氏は、Windows Server Virtualization上でのCPUやメモリアクセスに関するオーバーヘッドについて、「5パーセントを目標としているが、達成は難しい。しかし、10パーセント以下にとどまることは確実」と話した。

 ゲストOSは32ビットにも対応。Windowsファミリのほか、SUN OSや各種Linuxディストリビューションに対応する。VM当たり2、4、8個のプロセッサを割り当てられるようになるという。

 Windows Server Virtualizationは、独特な「ハイブリッド型」ともいうべきアーキテクチャに基づいている。

 まず、最下層ではメモリアクセスのスケジューリングなどをつかさどる最小限のソフトウェアとしてハイバーバイザが動作。これが各ゲストOSの動作を調停する。

 Windows Server Virtualizationではさらに、「親パーティション」と呼ばれるWindows Serverのサブセットが動作、これがゲストOS(「子パーティション」と呼ばれる)のために、プロセッサの電源管理やネットワーク/ストレージ/グラフィックスなどのドライバ管理を実行する。このコンポーネントが存在することのメリットは、ネットワークやストレージなどとの直接的なやりとりがすべてここに集約されるため、Windows Server用のドライバさえあれば、あらゆるネットワークアダプタやストレージアダプタが利用できる点。ゲストOSはそれぞれ、同仮想マシン機能がエミュレートするハードウェアのドライバを利用する。また、メモリやNICを稼動中に追加したり、取り除いたりすることも可能。

 ただし、親パーティションが停止すると、子パーティションのディスクやネットワークに対する出入力ができなくなる。最初のバージョンでは対策は用意されていないものの、その後のバージョンで親パーティションを冗長化することを検討しているという。

(@IT 三木泉)

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