日本オラクルがSaaS型CRM提供開始へ、シーベル製品を統合
2006/6/27
日本オラクルの執行役員 アプリケーションマーケティング本部長 藤本寛氏は6月26日会見し、米本社が買収したシーベル・システムズのSaaS(Software as a Service)型CRMについて「早いうちに提供開始したい」と語り、SaaSに本格的に取り組む姿勢を示した。SaaS型のほか、日本オラクルがすでに提供開始しているホスティングサービスと組み合わせたメニューも用意する。
日本オラクルの執行役員 アプリケーションマーケティング本部長 藤本寛氏 |
日本オラクルは、旧ピープルソフトと旧日本シーベルが合併した新会社、日本オラクルインフォメーションシステムズ(OIS)とクロスライセンス契約を結び、お互いの製品を扱えるようにしている。両社は共同で350人規模の営業部隊を組織し、プリセールスなどを展開。日本オラクルが今後展開するCRM製品は、旧シーベルの製品が中心となる。
日本オラクルが近く提供開始するのは、SaaS型の「Siebel CRM On Demand」。オラクル側が提供するWebサイトにアクセスしてネットワーク経由でCRMアプリケーションを利用する。ハードウェアやソフトウェアのコストを負担することなく、IDとパスワードだけですぐに利用開始できるのが特徴。藤本氏は「スピード感に良さがある」と説明した。Siebel CRM On Demandは旧日本シーベルが2005年に提供開始していた。藤本氏は「オラクルの環境に移行させ、さらにパートナーやターゲティングなどを調整する」と話した。
日本オラクルはすでに提供開始している自社の「Oracle On Demand」とシーベルのCRMを組み合わせて提供することも計画している。Oracle On Demandは、データベースなどOracle製品や、ERPの「Oracle E-Business Suite」、グループウェアの「Oracle Collaboration Suite」をオラクル側がホスティングし、運用管理を行うサービス。パートナー企業と協力し、提供している。
日本オラクルはOracle On DemandとSiebel CRM On Demandを組み合わせることで、SaaS型アプリケーションのサービスレベルやセキュリティ、安定性などが向上すると見ていて、「オラクルとシーベルの統合の強みを出せる」(藤本氏)としている。CRMではほかにパッケージ製品を提供する一般的な方法と、パッケージとホスティングを組み合わせる方法を用意する。
CRM製品は企業規模別に提供する。大企業には「Siebel Enterprise」、中堅企業には「Siebel Professional Edition」を用意。中小企業にはSiebel CRM On Demandを提供するが、「大企業でもCRMの要件定義を明確にするためにまずはSiebel CRM On Demandを使ってもらいたい。その後パッケージ製品に移ってもらえれば」(藤本氏)としている。
藤本氏はフロントオフィスシステムであるSiebel製品と、バックオフィスシステムであるOracle E-Business Suiteを連携させる「Project Genesis」の成果物を、2007年5月末までにリリースすると説明した。Siebel CRM On DemandやSiebel Contact On Demandと、Oracle E-Business Suiteとの連携。Siebel CRMとFLEXCUBEとの統合などを計画している。
藤本氏は「SiebelはCRMの領域でナンバー1だ」として、オラクルやピープルソフトのCRM製品の既存顧客を除いて、「新規の顧客にはSiebelを提案する」と話した。
(@IT 垣内郁栄)
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