日本版SOX法対応のコツは「余計なことはしない」、ベリングポイント

2006/7/4

 ベリングポイントは7月3日、現在同社が支援している企業の日本版SOX法対応事例の概要を紹介した。多くの企業ではCEO、CFOをトップにプロジェクトチームを編成。専任のメンバーも置いて、全社で取り組んでいる。ベリングポイントのマネージング ディレクター 足立晋氏は「非常に大変な作業がある。トップダウンでリードしていかないと、うまくいかない」と語った。

ベリングポイントのマネージング ディレクター 足立晋氏

 足立氏によるとベリングポイントは米国SOX法に対応した国内企業10社と、日本版SOX法対応を進めている30社を支援している。このうちの8社について概要を紹介した。8社のうち3社はCEOをトップとする専門組織を設置。そのうえで2〜10人程度の専任スタッフを置いているケースが多い。日本版SOX法対応の推定予算は2〜10億円以上。この金額は外部のコンサルティング会社などにかかる予算が中心で、内部の工数を予算化すると「もっと予算は上がる」(足立氏)という。

 日本版SOX法対応のための所要期間は10カ月〜3年程度。現状は「ひととおり完了した」という大手金融機関をはじめ、「文書化の開始段階」「評価範囲決定段階」などさまざまだ。

 足立氏は「ほとんどのケースでは、文書化、テスト、課題の改善に工数がかかる」と説明する。企業のビジネスプロセスはその1つをとっても社内の多くの人がかかわっている。プロセスを確認しながら文書化する作業は特に大変。文書化作業の前にビジネスプロセスを整理、標準化してプロセスの効率化を図るのが理想だが、作業に忙殺される企業も出てくるかもしれない。

 足立氏は「文書化の作業では、社内の人をどこまで関与させるかの方針を決めるのが重要だ」と話し、文書化の前段階となる方針策定の重要性を指摘した。「方針策定は工数はかからないが、間違うと誤った方向にいくので重要性が高い」

 また、ベリングポイントの代表取締役社長 内田士郎氏は「日本版SOX法の対象は財務報告。社内の何がかかわるのかスコープを絞って余計なことはしないことが重要だ」と話した。

(@IT 垣内郁栄)

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