つくばエクスプレスの無線LANインターネット、商用化へ
2006/7/26
つくばエクスプレスの列車内における無線LANインターネット接続が、8月末より商用サービスとして提供されることになった。首都圏新都市鉄道(つくばエクスプレスの運営会社)、インテル、NTTドコモ、NTT東日本、NTTブロードバンドプラットフォーム(NTTBP)は7月25日、5社が共同で約1年にわたり実施してきたつくばエクスプレス列車内インターネット接続実証実験を7月31日で終了し、公衆無線LANインターネット接続サービスを提供する企業各社がそれぞれの判断で商用展開していく段階に入ったことを発表した。
記者発表会では5社の代表者が実験の成功をアピールした |
商用サービスで一番乗りとなるのはNTTドコモ。8月24日より、同社の月額/日額制公衆無線LAN接続サービス「Mzone」「mopera U」のユーザーは、追加料金なしにつくばエクスプレスの列車内でインターネット接続ができるようになる。
これまでの実証実験では、段階的に無線LANアクセスポイントのカバー率向上と対象車両の拡大が進められてきた。その結果、アクセスポイントについては7月20日に全線で途切れのないインターネット接続が実現。また、対象車両については、快速・区間快速で利用中の「2000系」と呼ばれる車両16編成すべてにおいて、7月末までに設備が搭載される予定。
つくばエクスプレスの列車内からのインターネット接続を実現する設備は、NTTBPが管理・運用する。インターネット接続サービス業者は、NTTBPに対し利用料を支払って、設備を利用することになる。このインフラを利用できる公衆無線LANサービス事業者に限定はない。
実証実験に参加したもう1つの通信事業者であるNTT東日本も、同社の「フレッツ・スポット」ユーザーに対し、つくばエクスプレスでのインターネット接続を提供する予定。ただし、実現時期は「10月ごろになる」とNTT東日本の関係者は話した。NTTドコモより遅れるのは、同社が現在全般的にアクセスポイントの構築を進めている段階であり、優先順位の問題だという。
列車と地上の通信インフラとの接続は、無線LANによって実現している。つくばエクスプレスは全線58キロメートルで、それほど長くはない。しかし、駅間の距離が長いところもあり、駅に設置したアンテナだけではデッドゾーンが多く、継続的な接続環境が実現できない。このため27個の中継用アクセスポイントを補完的に設置、これを数珠つなぎ上に25GHz帯の無線アクセスシステムで相互接続して全線をカバーした。
つくばエクスプレスは時速130キロメートルで走行するため、高速なハンドオーバーを実現しなければならないという問題があった。そこでMobile IPを利用するとともに列車の前端と後端に無線LANのアンテナを設置、2つのアンテナの切り替え利用はモバイルルータで行う方式をとった。車内の無線LANアクセスポイントは複数のSSIDを広告(周辺の無線機器に対して通知)できる仕様になっており、トラフィックをレイヤ2で振り分ける機能も搭載している。
首都圏新都市鉄道やインテル、NTTBPは、今後さらに駅周辺の住宅地や各種施設へ無線LANエリアを面的に展開していきたいとしている。(@IT 三木泉)
[関連リンク]
5社による発表資料(NTTBP掲載分)
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