これでオタクにふさわしい列車になった?

2005/7/15

 インテル、首都圏新都市鉄道、NTTBPの3社は7月14日、秋葉原とつくばを結ぶ「つくばエクスプレス」の列車内において、無線インターネット接続実験を実施すると発表した。列車内に加えて、開業予定日である8月24日までには主要9駅の駅構内にも公衆無線LAN環境を整備し、秋ごろまでには全20駅に拡大する予定だ。

左からNTTBP 代表取締役社長 小林忠男氏、インテル 代表取締役共同社長 吉田和正氏、首都圏新都市鉄道 代表取締役社長 橋伸和氏

 つくばエクスプレスは、東京都秋葉原から茨城県つくばまでの58.3kmを最短45分で結ぶ鉄道路線。車両は6両編成で運行し、ATC(Automatic Train Control:自動列車制御)やATO(Automatic Train Operation:自動列車運転装置)の支援により、ワンマン運転と関東私鉄最速となる最高時速130kmを実現した。首都圏新都市鉄道 代表取締役社長 橋伸和氏は、「つくばエクスプレスの車両自体がまさに“ITの塊”だ。数々のハイテク装置でオーバーランや制限時速オーバーを防いでいる」と自信を見せた。

 実験では、車両内に無線LANのアクセスポイント(AP)を設置。1つのAP当たり2車両をカバーするため、1編成当たり3台のAPを搭載する。APとユーザー端末まではIEEE 802.11 bで通信を行う。社内APはモバイルルータを介して、車両の両端に設置された車両外向けAPに接続している。この車両外用APと駅に設置されたAPは802.11 b/gで接続。駅からデータセンターまでは光ファイバ接続だという。車両内のAP間の通信は、安定化のためにMIMO(Multi Input Multi Output)技術を採用している。

 列車からデータセンターまでのネットワークには、L2トンネルを設置。複数VLAN機能と共用アクセスポイントの組み合わせによって、複数のESSIDの利用を可能にした。駅と列車間の通信では指向性の鋭いハイゲインアンテナを採用し、駅と駅の間隔が1km程度であれば、途中にAPを新設しなくても通信が途切れることはないという。しかし、一部区間では駅間が5〜6kmあるため、APを設置して通信の切断を防ぐ予定だ。

無線LANシステムの構成イメージ
  ただし、現在はつくばエクスプレスの車両が国土交通省の点検を受けているため、APの設置ができない状況だが、8月22日に実施する式典までに間に合わせるべく作業を進めるという。8月24日以降の実験開始後には、順次車両へのAP設置作業を進める予定。なお、駅構内および車両内で公衆無線LANサービス提供を予定している事業者は、NTT東日本の「フレッツ・スポット」とNTTドコモの「Mzone」となる。

 NTTBP 代表取締役社長 小林忠男氏は、「いままで当社は駅構内を中心に無線LANを提供してきたが、レールの上でも同じサービスを提供するのを『いつかやってみたい』と思っていた。モニターの募集などの詳細はまだ未定だが、商用サービスにぜひ結び付けたい」と説明。インテル 代表取締役共同社長 吉田和正氏は、「3年前にCentrinoを発表して以来、当社はこの技術を使える場所を増やすことを使命としてきた。現在では、飛行機や空港、両国国技館などでも利用できるまでになっている。一方、ユーザーアンケートでは、電車内で利用したいという声が上位にくる。今回のサービスにより、そのようなユーザーの声に応えられると思っている」と語った。

(@IT 大津心)

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インテル発表資料

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