NCR、テラデータ事業好調を支えるため大連に開発センター設立

2006/8/5

 日本NCRは8月4日、報道関係者向けの社長会見を開催。日本NCR 代表取締役社長 細井英樹氏が同社下半期の目標などを語った。また、同社日本法人初となるオフショア開発拠点を8月16日に中国・大連に開設すると発表した。

日本NCR 代表取締役社長 細井英樹氏
 細井氏は、2006年の日本NCRの目標を「売上高前年比7%増」と説明。キーワードには、「フォーカス」と「スピード」を挙げた。成長分野にはテラデータ事業部と流通システム事業部を、堅調維持分野には金融システムとシステム・メディア事業部を挙げた。特に金融システム事業部は、「金融業界全体の好調ぶりを反映して、前半はけん引役となってくれた。後半は成長分野にワンランクアップさせたい」(細井氏)と語った。

 米NCRコーポレーションの2006年第2四半期は、Teradataデータハウジングの売り上げが好調を維持し、11%増だった。特徴的なのはカスタマーサービスで、売り上げは横ばいながら利益は300%増だという。日本NCRの上半期売上高は、前年比6%増、上半期プラン比で98%、第2四半期は前年同期比17%増、上半期プラン比で102%だった。堅調な要因を細井氏は、「景気回復により金融業界に活気が出てきたので、金融向けソリューションがけん引したのが大きい。当社のビジネスユニット間の垣根も取れてきているので、端末からDWH(データウェアハウス)までの総合ソリューションとして提案できるようになった点も大きい」と指摘した。

 下半期の展望で、まずテラデータ事業部はEDW(エンタープライズデータウェアハウス)戦略の徹底や、メガメジャー企業への積極的なアプローチ、パートナーとの協業強化の3点を戦略に挙げた。EDWについては、昨今の内部統制や日本版SOX法対応でデータの一元化が叫ばれていることから、追い風であると予測した。また、案件の大型化の傾向があると指摘。「あるカード会社では、20億円以上の分析系アプリケーションを導入した」(細井氏)といったケースも出てきているという。

 また、テラデータ事業部の好調により、システムエンジニアが足りない状況になってきており、それに対応するためオフショア開発に着手。日本NCRとしては初めてのオフショア開発センターとなる「大連グローバル・コンサルティング・センター」(GCC)を中国・大連に開設する。当初はテラデータ事業部関連の開発を中心に50人体制で開始し、「その後、リテールやファイナンシャルにまで広げ、できる限り早い段階で250名体制にまで拡大させたい」(細井氏)とした。

 そのほか、流通システム本部ではセルフレジの本格展開や基幹系システム(OSS)ビジネスの確立を、システム・メディア本部ではRFIDビジネスの確立を戦略に挙げた。RFIDビジネスでは、上期はUHF帯EPC Class1 Gen2ラベルの国内出荷を開始したので、下半期も「引き続き、米国におけるUHFラベル製造技術やノウハウを生かしたラベルを提供していきたい」(細井氏)と語った。

(@IT 大津心)

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