「時代に逆行」、ソフトバンク孫社長が“インフラただ乗り論”を痛烈批判
2006/8/9
ソフトバンク 社長の孫正義氏は8月8日、通信会社から挙がっている“インフラただ乗り論”について、「時代に逆行する考えではないか」と批判した。孫氏は「コンテンツ会社は重要なパートナー、顧客にはストレスを感じることなく、好きなだけブロードバンドを楽しんでもらいたい」と語り、インフラただ乗り論を展開するNTTグループなどとの違いを強調した。
ソフトバンク 社長の孫正義氏 |
インフラただ乗り論は、動画配信サービスやIP電話サービスのトラフィックがIPネットワーク上で急増し、通信会社やインターネット・サービス・プロバイダー(ISP)が負担する帯域コスト、設備投資が急増していることが背景。通信会社やISPにとっては、動画や音声を流すコンテンツ会社がコストを負担せずに通信会社のIPネットワークを利用している形で、「ただ乗りだ」と批判の声を挙げている。
国内では、今年1月18日に会見したNTT持株会社の代表取締役社長 和田紀夫氏が、Skypeを取り上げて「PtoPの通信手段が、単なる音声やテキストだけでなく、映像も含めて発展しようとしているが、このことも、新しいネットワークへの投資に対するリターンが非常に心配になる要因」などと指摘。「われわれとしては、それに対応できるネットワークを作り上げていかなければならなくなり、ものすごい投資が必要になる」としてコンテンツ会社のただ乗りを批判した。
対して、孫氏は「『ユーザーがインターネットを使いすぎるのは、けしからん』『コンテンツ会社が動画などのリッチコンテンツをたくさん提供するのは、けしからん』として、そういうコンテンツ会社からお金を取ったり、ユーザーのアクセスを制限したいと考えるのは、まったく逆だと思う」とただ乗り論を批判。「ユーザーやコンテンツ会社を制限するのではなく、自らが世界最先端のIPバックボーンを持つことで快適にブロードバンドを楽しんでもらいたい。そのためにわれわれは技術的な解決策を考えていきたい」と語った。
孫氏はNTTグループが構想している次世代ネットワーク(NGN)についても「われわれはすでに5年前に完全IPネットワークを構築済み。NTTはわれわれが5年前にやったことを、これから5年かけてやろうとしている」と痛烈に皮肉った。
ソフトバンクが同日発表した2006年第1四半期(4−6月期)連結決算は、携帯電話事業のボーダフォン日本法人を5月に新規連結したことで、売上高は前年同期比91%増の4942億円だった。営業損益は前年同期の31億円の赤字から543億円の黒字に回復。経常損益も130億円の赤字から259億円の黒字になった。当期純利益は14億円(前年同期は111億円の赤字)。孫氏は「完全なるV字回復だ」と語り、黒字基調の継続を強調した。
(@IT 垣内郁栄)
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