「トリプルプレイの無駄」を解決、ノーテルが新技術実装へ

2006/3/25

 ノーテルネットワークスは通信事業者などが提供するトリプルプレイサービスを念頭に、映像配信にかかわるインフラコストを低減する新技術を開発した。2006年中に製品に組み込み出荷する方針。一部技術はすでに製品に組み込んだ。

ノーテルのキャリアパケットネットワークス オプティカルマーケティングの近藤卓司氏

 トリプルプレイとは1本の通信回線で電話とインターネット、映像配信の3サービスを提供するサービス。通信事業者が現在最も注力しているサービスだ。「トリプルプレイの目玉は映像配信」(ノーテルのキャリアパケットネットワークス オプティカルマーケティングの近藤卓司氏)で、各通信事業者は多チャンネルや高品質のブロードキャスト映像配信、オンデマンド映像配信などを企画している。

 トリプルプレイを展開するうえでの課題はトラフィックの偏りだ。トリプルプレイのトラフィックは圧倒的に下りの通信が多い。特に映像配信ではトラフィックのほとんどが下りだ。近藤氏は「トリプルプレイは無駄が多いネットワーク」と指摘する。下り通信の増大に対応するため通信事業者は帯域の増強などが求められる。

 通信事業者はルータの機能でトリプルプレイの広帯域化やインフラコストの低減に努めているが、ノーテルは光伝送装置の機能で対応することを訴えている。より下のレイヤの光伝送装置で対応することで、「圧縮技術など今後の技術変化に柔軟に対応できる」(近藤氏)からだ。

 ノーテルが開発したのは4つの技術。「Drop&Continue」は光電素装置で映像配信の信号をコピーし、SONETリングで転送する技術。ルータで映像配信の信号をコピーする従来の技術と異なり、エンド・ツー・エンドの冗長性や障害時の瞬時に切り替えが可能だという。「全局への単方向ブロードキャスト映像配信に最適」(ノーテル)で、従来の構成と比較してコストを抑えることができるという。

 「Resilient Packet Ring」(RPR)はSONET上で帯域共有が可能なリングを提供し、サービスごとの帯域保証と統計多重を実現する技術。映像配信では各局に対して帯域確保が必要なユニキャストのオンデマンド映像配信に最適といい、ノーテルは「電話やインターネットトラフィックと混在させることで効率性と低コストを実現する」としている。

 「Asymmetric Optics」と「Triple Play Hub」は組み合わせることで広帯域化とネットワーク構成の柔軟性を確保する。Asymmetric Opticsは必要な局に絞ってユニキャストで映像配信を行う技術。下り方向のみに10G DWDM波長を割り当てることでオンデマンド映像配信の急激なトラフィック増大に対応する。Triple Play Hubは最適のトランスポート方式を自動で割り当てる技術で、複数のトランスポート方式を使っていてもルータやアプリケーションからはその方式の違いを意識させないよう方式を集約する。Asymmetric Opticsで単方向の通信を行っていても、「外からは双方向の通信に見える」(近藤氏)という。

 ノーテルはこれらの技術を使うことでブロードキャストの配信トラフィックを大幅に削減できるとしている。海外では商用をにらんでトライアルを行っている通信事業者もあるという。Drop&Continueはすでに光伝送装置の「Optical Multiservice Edge 6500」に実装した。ノーテルはほかの技術も製品に組み込み、2006年中に投入する計画。トリプルプレイを展開する通信事業者への売り込みを本格化させる考えだ。

(@IT 垣内郁栄)

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