「本当に使い物になるツールを」、HPが新会議システム発売
2006/8/23
日本ヒューレット・パッカード(HP)は8月22日、バーチャル会議システム「HP Halo Collaboration Studio」(Halo)の日本での販売を開始すると発表した。同時にHP市ヶ谷事業所にHaloスタジオを開設する。
Haloの最大の特徴は、音声と実物大の映像が、遅延がほとんど発生しない状態でやりとりできること。遠隔地にいる相手とも、まるで同じ室内にいるような感覚で対話できる。
日本HP 取締役副社長 HPサービス事業統括 石積尚幸氏 |
Haloは米DreamWorksとの協業で開発した。日本HP 取締役副社長 HPサービス事業統括 石積尚幸氏は「クリエイティブな仕事をする人たちにとって、本当に使い物になるツールを作りたかった」と話す。DreamWorksは世界の3カ所にアニメーションの製作拠点を持つが、現場レベルの打ち合わせをするのに従来のテレビ会議システムでは使い物にならず、経費と時間を割いて出張を繰り返す必要があった。Haloの導入により、「年2本のCGアニメーション製作が可能になった(従来は年1本ペース)。つまり生産性は2倍になった」という。
石積氏は「HP社内でもグローバルな協業を促進している。グローバルビジネスで成功するには『対話の場』を実現するツールが必要。目指しているのは『究極のコミュニケーションツール』だ。テクノロジをまったく意識せず、遠隔地の相手であっても目の前にいるようにやりとりできる」と説明する。Haloの導入によって、グローバルチームの連携強化、オフショアなどの国境を超えた業務の迅速化が見込めるという。
遅延のない映像・音声による臨場感を実現するため、HPはHaloを会議室本体(Haloスタジオ)、専用ネットワーク、遠隔保守とサポートサービスからなるパッケージとして提供する。Haloスタジオには50インチディスプレイ4台、高精度カメラ、高感度マイク、サーバなどネットワーク管理機器を設置。これらの機器は壁や天井、机に埋め込まれ、会議参加者は意識せずに遠隔地の参加者とミーティングができる。
Halo専用の通信回線として、光ファイバーネットワーク「Haloビデオ・エクスチェンジ・ネットワーク」(HVEN)を開発。広帯域・全二重の回線で遅延のないビデオ伝送を可能にする。現在は2拠点のみを接続する形だが、今秋ごろには最大4拠点を接続するマルチポイント接続もサポートする予定だという。また遠隔保守管理と24時間のサポートサービス「HPコンシェルジュ・サービス」により、すべての機器はオペレーションセンターから保守がされる。会議の品質について「HPが責任を持つ」ことになる。
市ヶ谷事業所に開設されたHaloスタジオでは、米ワシントンDCとの会議デモンストレーションが行われた。50インチディスプレイ3台が会議参加者の目線に合うように設置され、5人の映像が実物大に映し出される。カメラ・マイクはそれぞれ壁面と机上に設置されている。実際に体験してみると、音声や映像の遅延はほとんど感じられない。スタジオのデザインの統一感もあって、遠隔地の人物とでも違和感なく身振り手振りを交えた会話ができる。米HP マーケティングマネージャのレイ・サィウタ(Ray Siuta)氏は、「HPスタジオは違和感なくコミュニケーションが取れるよう、実験やテストを重ねて設計された」と話す。天井に設置された高精度ズームカメラにより、机上の書類や製品などの映像をやりとりし、細かい部分まで確認をすることも可能だ。
机上の黒い点がマイク。ディスプレイ右から3人目がレイ・サィウタ氏 | 4台目のディスプレイには机上に置いた物の映像が映し出される。写真はHPのインクカートリッジを拡大したもの |
同社ではHaloビジネス推進部を新設、オフショアを含めグローバルビジネスを推進する企業に販売していく。Haloスタジオ1室の初期設置費用は42万5000ドル(約4888万円)、運用保守サービスは1カ月当たり3万ドル(約345万円)。
(@IT 長谷川玲奈)
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