オープンに賭けるサンのソフトウェア・ビジネス戦略

2006/8/24

サン・マイクロシステムズ ソフトウェア・ビジネス統括本部 ビジネスインテグレーション・ソリューション本部 本部長 柏木武志氏

 サン・マイクロシステムズ プロダクト・ストラテジック・マーケティング本部 本部長 九里禎久氏によると、サン・マイクロシステムズのソフトウェア・ビジネスは、一貫してオープンな環境を前提としたものであるとする。その立場を同社は強調する。業界標準規格に準拠し、オープンソースの中でリーダーシップをとりながら、マーケットを成長させていくという方向性にソフトウェア・ビジネスの未来を託している。

 これまで、サンは自社開発のソフトウェアを無料化し、オープンソース化を推進してきた。Solaris OSの無料化とオープンソース化を契機として、Java Enterprise System、N1管理ソフトウェア群および開発ツールなど、自社ソフトウェアを次々と無償提供、オープンソース化した。このような姿勢の1つの到達点として、オープンソース化したこれらのソフトウェアを統合し、Solaris Enterprise Systemを構築した。

 8月3日に発表したSOA基盤製品「Sun Java Composite Application Platform Suite(Sun Java CAPS)」は、旧シービヨンドの製品をベースとしたもの。日本国内では1月に両社の事業統合を完了している。Sun Java CAPSは「競合製品とは比べものにならないほどの低価格」(サン・マイクロシステムズ ソフトウェア・ビジネス統括本部 ビジネスインテグレーション・ソリューション本部 本部長 柏木武志氏)と、2000社以上の導入実績から抽出したノウハウ(「SOA RQ Methodology」)を用いたサポートが特徴である。フルコンポーネントを含むSun Java CAPSの価格は、9時〜17時のスタンダードサポート付きで1従業員あたり1万4000円/年間である。

 自社ソフトウェアの価格自体を競合他社とは比較にならないくらい低く設定し(あるいは無償提供)、ソースコードはオープンにする。一方で、開発するソフトウェアは依然として高品質を目指す。サンのR&D投資額は年間およそ18億ドルであり、この投資は継続的に行われる予定である。

 オープンソース・ソフトウェアの開発者コミュニティがソフトウェア・ビジネスに与える影響力は大きくなる一方だ。コミュニティにそっぽを向かれた技術は、市場での価値を失う可能性が大きく、逆にいえば、コミュニティに支持されることこそが市場で生き残る道であるともいえる。当然そこにビジネスチャンスが生じる。サンが掲げた「参加の時代」というコピーは、ソフトウェア・ビジネスにおける現実の状況に適応するための意思表示である。

(@IT 谷古宇浩司)

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