企業の日本版SOX法対応に金融庁 八田部会長が苦言 「経営者不在だ」
2006/9/2
金融庁の企業会計審議会内部統制部会 部会長の八田進二氏(青山学院大学大学院教授)は9月1日、新日鉄ソリューションズ主催のセミナーで講演し、いわゆる日本版SOX法(金融商品取引法の一部)への企業の対応について「内部統制は経営者が主人公となって行わないといけないが、実際は部下やコンサルティングファームに対応を任せる『経営者不在』『第三者依存』が蔓延(まんえん)している」と語った。
金融庁の企業会計審議会内部統制部会 部会長の八田進二氏 |
八田氏は経営者不在の内部統制整備について「それでは駄目だ」と厳しく指摘。「財務報告リスクを重視した内部統制として、メリハリを付けることが重要」と強調した。さらに「経営者が経営管理を自らの責任で履行するために行うプロセス」と日本版SOX法の狙いを説明し、経営者によるハンドリングの重要性を説明した。
ただ、日本版SOX法に企業が対応するうえでの具体的なガイドラインとなる実施基準の公表は、当初予定から大幅に遅れている。八田氏は@ITの取材に対し、「実施基準は年内に出る」と明言。内容についても講演で「具体的なものが必要」と語った。
日本版SOX法の実施基準は、内部統制の目的や要素について個々の論点を示す「枠組み」と、「評価対象」、監査の基準を示す「監査方法」の3項目で構成。内部統制部会の作業部会が策定している。9〜10月に実施基準の草案を公開し、パブリックコメントを募集した後、年内に正式決定する案が有力視されている。
(@IT 垣内郁栄)
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