ソフト販売の成功率は「新庄の打率よりも悪い」、アシスト成功の理由は?
2006/9/14
アシストは9月13日、同社が販売するWebコンテンツ・マネジメント・システム「NOREN」について、開発元の韓国I-ON COMMUNICATIONS(以下、アイオン)との独占販売を最長20年延長する契約を9月6日に結んだと発表した。ソフトウェア販売の契約は通常3年程度といい、20年は極めて異例。アシストの代表取締役 ビル・トッテン氏は「アイオンとの信頼、信用関係を大切にした結果」と話した。
アシストの代表取締役 ビル・トッテン氏(左)とアイオンの代表取締役社長 オー・ゼチョル氏 |
NORENは2002年10月に発売開始し、これまでに国内で170社が採用。ただ、当初は日本のユーザーが求める機能が不足していて苦戦が続いた。最初の大規模ユーザーは日立製作所だったが、機能に不足が目立った。「ビル・トッテン社長に呼び出されて3カ月で何とかしろと言われた」(アシスト 主席コンサルタント 石原洋氏)ため、アシストのチームは韓国からアイオンのチームを呼び、対策に当たった。
ただ、国内の顧客の要望を満たすには当時の「NOREN 3」のアーキテクチャでは難しかった。アシストとアイオンは「NOREN 3では駄目」と判断。アイオンは次のバージョン「NOREN 4」で対応できると話したが、石原氏らは「最初は信用できなかった」。
それでもアイオンの代表取締役社長 オー・ゼチョル氏が「必ず完成させる」と熱意を見せ、アシスト側が折れた。「取締役会にもかけずにNOREN 4で行くことを決めた」(石原氏)。「アーキテクチャが壊れるくらい」(同氏)のバージョンアップを行うため、NORENの販売は半年間停止。アイオンは640項目のテストをして日本の顧客の要望に対応したとしていたが、まだ穴があり、アシストが追加で1万2000項目のテストを設定し、何とか完成させた。
石原氏は「言いにくいことも言い合って完成させた。NOREN 4を完成させずにアイオンが韓国に帰っていたら、いまはなかった」と振り返った。オー氏も東京・高円寺から御茶ノ水の日立まで通い、終電で帰っていた当時を振り返り、「いまは笑って話せるが、当時は苦しかった」と語った。
アイオンは日本の顧客の要望を聞きつつ、新バージョンの「NOREN 5」を開発している。動的コンテンツのサポートを拡充させる計画。電子商取引サイトやブログとの連動も可能にする。AjaxなどWeb 2.0関連技術も積極的に採用。日本でニーズが高いWebサイトの運用管理性も向上させる。オー氏は「30個の新機能を入れる予定だが、そのうち29個は日本からの要望だ」と話した。NOREN 5は韓国で11月からパイロットユーザーに提供。2007年初めに正式リリースする。日本でのNOREN 5のリリースは2007年後半になる予定だ。
販売開始4年で170社が採用したNORENは、ソフトウェア代理販売の成功の1つだろう。アシストは今年中に200社、2007年には300社まで採用を伸ばすことを目指す。2010年までに1000社の採用が目標だ。
トッテン氏は「ソフトウェアの代理販売はほとんどが成功しない。アシストのソフトウェア販売の勝率は、(プロ野球日本ハムの)SHINJO(新庄剛志)外野手の打率(9月13日現在で.256)よりも低い」と話し、ソフトウェア販売ビジネスの難しさを強調。成功の秘けつはソフトウェア・ベンダとの長期の信頼関係構築だと強調したうえで、トッテン氏は「別のソフトウェアを紹介してくるようアイオンに言っている。韓国のソフトウェアをもっと日本で紹介したい」と語った。
(@IT 垣内郁栄)
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アシストの発表資料
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