仮想化でインフラとサービスを疎結合に、CTCが「ミドルウェア・プール」

2006/9/15

 伊藤忠テクノサイエンス(CTC)と日本オラクル、日本ネットワーク・アプライアンス(ネットアップ)は9月14日、データベースをはじめ、Webアプリケーションサーバなどのインフラ層を、仮想化技術を使って統合、標準化するITインフラのフレームワーク「Mw Pool」(ミドルウェア・プール)を開発すると発表した。10月初旬にもCTCがソリューション群「Verified Selections」のメニューとして提供開始する。

左からCTCの藤岡良樹氏、CTCの取締役 兼 常務執行役員 後藤健氏、日本オラクル 三澤智光氏、ネットアップ 取締役副社長 大坪武憲氏

 CTCとオラクルはシステムごとに乱立するデータベースを仮想化技術を使って統合する基盤テンプレート「DB Pool」を、2005年10月に共同開発し、提供してきた。CTCのITエンジニアリング室 室長代行 藤岡良樹氏によると、DB Poolは100社以上から引き合いがあり、すでに数十ノードが稼動中。電機や自動車など製造業から引き合いが多いという。

 Mw Poolはこの統合基盤をミドルウェア層まで拡大するフレームワーク。複数システム間で標準化された共通のデータベース、アプリケーションサーバを利用することで、運用管理コストの削減を可能にする。一般的にはシステムごとにインフラを構築する必要があるが、共通のインフラを用意することで、新規システムの立ち上げが迅速になるという。藤岡氏は「システムごとに構築されているタテ型のインフラや運用体制を統合することで、サービスとインフラの結びつきを疎結合にできる」と説明した。

 Mw Poolはオラクルとネットアップの仮想化技術を活用し、ストレージを「NetApp FASシリーズ」に統合。データベースは「Oracle Real Application Clusters 10g」で統合する。アプリケーションサーバは「Oracle Application Server 10g」に標準化し、ストレージを含むインフラ全体を「Oracle Enterprise Manager 10g Grid Control 10g」で統合管理する。CTCはMw Poolの運用管理を引き受けるアウトソーシングサービスも提供する。

 OSやデータベース、ストレージ、アプリケーションサーバなどは事前検証によって必要なパラメータが設定され、テンプレートとなっている。そのため新規システムを追加する場合でも迅速な構築が可能だという。CTCはこのテンプレートをある顧客と共同で開発。藤岡氏は「実際の運用をベースにしている」と話した。

 日本オラクルの常務執行役員 システム製品統括本部長 三澤智光氏は「サーバのコンソリデーションは、ハードウェアを物理的に寄せてしまうケースがほとんど。その次の段階として必要になるのがデータベース層とミドルウェア層の統合だ」と話し、Mw Poolの必要性を強調。さらに「Mw Poolのポイントは検証済みで、構成があらかじめ設定されていること。いま、手に入れられる現実的な仕組みだ」と語った。

 Mw Poolはシステム構築を含めて5000万円から。CTCは3年で100億円の売り上げを目指している。

(@IT 垣内郁栄)

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