サーバ仮想化でユーザーに主導権が移ると主張するデル

2006/9/21

 VMwareのOEM販売を9月初旬に開始したデルは9月20日、報道関係者に対して同社の仮想化技術に関する戦略を説明した。

デル エンタープライズマーケティング本部 ソリューション&アライアンス グループ マネージャ 布谷恒和氏

 「デルの仮想化はVMwareとほとんど同義」と同社のエンタープライズマーケティング本部 ソリューション&アライアンス グループ マネージャ 布谷恒和氏は話し、同社がこれまでもVMwareの構築支援を行ってきたことを説明した。ほかの仮想化ソフトウェアも研究しているが、現在のところVMwareがIAサーバの仮想化における事実上の標準となっており、最もこなれていることがその理由という。

 そのVMwareもこれまでは検証や開発環境における導入が多かったが、「今年、特に今年の後半から、本格的に予算を使って仮想化を導入する動きがはっきりとしてきた」(布谷氏)。

 サーバ仮想化のメリットは、すでに広く語られているようにサーバ数の増加に伴うスペース、熱、電力コストの上昇を抑える、新たなハードウェアでサポートされなくなったWindows NT 4.0などのOSとその上に構築したアプリケーションを使い続けられる、ユーザー部門に仮想サーバ単位でリソースを分け与えることで、ユーザー部門にとっても迅速な展開が図れる、などがある。また、VMware Infrastructure 3からは、クラスタリングソフトなしにシンプルなフェイルオーバが実現できるようになった。

 しかし、「サーバの仮想化は目的でなく手段だということが重要。多くのサーバ・ベンダは高価な製品を売りたいがために仮想化を大きなコンセプトにしてしまいがち」と布谷氏は指摘する。

 デルでは仮想マシン環境を動作させるサーバとして、デュアルコアXeonを2ソケットあるいは4ソケット搭載した安価なマシンを使うことを奨めているという。「これなら40万円程度からある。高価なサーバを買うより最新のCPUを使うことで統合率を高めた方が得」(布谷氏)。1サーバ当たり6〜10の仮想マシンを稼働し、あとはスケールアウト方式でサーバの台数を増やしていくべきだというのだ。既存の仮想サーバを後から追加した物理サーバに移動する作業はVMotionでできる。

 布谷氏は、サーバ仮想化導入に際してユーザー企業が最も重視すべき点として、まず自社での運用を前提として自分自身で仮想化の仕組みを理解することを挙げる。サーバ仮想化は業務と密接にかかわるものであるため、ベンダやSI業者任せにできないというのがその理由だ。

 ユーザー企業が仮想化に関し、自分で主導権をとることを訴えるデルは、サーバ製品における差別化はせず、設計・導入・構築支援や教育サービスの提供に徹するという。「デルには直販を通じて蓄積してきたノウハウがある。本当に仮想化環境を構築できるスキルがあることがほかのベンダとの違い」と布谷氏は強調した。

(@IT 三木泉)

[関連リンク]
デルのVMware OEM販売開始に関する発表資料

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