SAPは2010年までアップグレードしません宣言
2006/10/4
独SAP AGは9月20日、最新のERPシステム「mySAP ERP 2005」を2010年までアップグレードしないと発表した。機能追加などは拡張パッケージの適用で対応する。mySAP ERP 2005をSOAのプラットフォームと位置付け、豊富なシステム連携機能を提供することで2010年までのビジネスの変化に十分に対応できるとしている。
SAPジャパンのバイスプレジデント ソリューション&マーケティング統括本部長 安田誠氏 |
SAPジャパンのバイスプレジデント ソリューション&マーケティング統括本部長 安田誠氏は10月3日の説明会で、ほかの業務アプリケーションベンダが展開するSOA戦略と、SAPが打ち出している「エンタープライズSOA」戦略の違いを「視点が違う」と説明した。他社が技術的な連携に力点を置くのに対してSAPは、ERPのベストプラクティスをベースに業務に力点を置くと指摘。その象徴がmySAP ERP 2005に盛り込んだ「エンタープライズサービス」と語った。
ビジネスプロセスを組み替える場合、他社ミドルウェアで構築したSOAでは1つのフローでも複雑なシステム連携を調整する必要がある。しかし、エンタープライズサービスはベストプラクティスに基づき、ビジネスプロセスをブロック化していて、ビジネスプロセスの組み換えが容易になる。「エンタープライズSOAではプロセスの中を気にすることなく、整合性のあるビジネスプロセスを構築できることにコミットしている」(安田氏)。mySAP ERP 2005では500のエンタープライズサービスを定義。最終的には1300まで増やすという。
ただ、SAPが懸念しているのは同社が次々に打ち出す新しいコンセプトに、顧客がついてこれるか。そのため顧客にエンタープライズSOAを知ってもらい、試してもらう施策を相次ぎ発表している。10月2日には日本ヒューレット・パッカード(HP)のIAサーバに事前設定済みのmySAP ERP 2005、「SAP NetWeaver 2004s」、エンタープライズSOAのサンプルシナリオなどをインストールしたパッケージ製品「SAP Discovery System for enterprise SOA powered by HP」を発表した。すぐに動作させることが可能で、エンタープライズSOAに基づき「ビジネスプロセスを構築でき、エッセンスを感じてもらえる」(SAPジャパン)という。
価格はサーバ単体で165万円(税抜)。SAPライセンスは別だが、3カ月分のフリー評価ライセンスを付ける予定という。また、エンタープライズSOAの構築を目指す開発者向けのトレーニングを2007年2月に開始することも発表した。エンタープライズSOAを実現するためのツールやコンポジットアプリケーションの構築手法を学べ、「SOA実現の全体像を短期的に効率よく学習できる」(SAPジャパン)という。
さらに、コンポジットアプリケーションをより手軽に開発できるスイート製品「SAP NetWeaver Composition Environment」を2007年前半にもパートナーに対して提供開始する予定。既存のツールやランタイムなどを統合した。「まだまだこれから」(SAPジャパン)という国内のコンポジットアプリケーション開発の促進を狙う。2007年後半には一般企業への提供を検討している。
(@IT 垣内郁栄)
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