Javaや.NETを超えた!? セールスフォース、オンデマンド用言語を開発
2006/10/11
米セールスフォース・ドットコムは10月9日(米国時間)、米国サンフランシスコにてプライベートイベント「Dreamforce'06」を開幕。基調講演では、同社CEO マーク・ベニオフ(Marc Benioff)氏が新サービスなどを発表した。
新しいプログラミング言語であるApexを発表した、米セールスフォース・ドットコム CEOのマーク・ベニオフ氏 |
新サービスの目玉は、新しいプログラム言語「Apex」、企業支援サービス「AppExchange Incubators」、新バージョン「Winter'07」の3つ。Apexは、セールスフォース・ドットコム用のプログラム言語で、Javaに似ているのが特徴。ユーザーはApexで作成したプログラムをセールスフォース・ドットコムのサーバに直接アップして使用することができる。ベニオフ氏は「世界で初めてのオンデマンド用プログラム言語だ。オンデマンド用のC++や.NET、Javaのようなものだ。その意味ではこれらの言語を超えている。Apexの登場によって、ユーザーは思う存分セールスフォース・ドットコムを変更することができる」とコメントした。
「Apexはセールスフォース自身が開発している言語とほぼ同じ」(ベニオフ氏)であるため、セールスフォース・ドットコム上のあらゆる部分を変更または追加することが可能になる。システムインテグレータやデベロッパがApexを用いて開発したプログラムは、AppExchange上で公開・販売することもできる。同社 CSO(チーフストラテジーオフィサー)ティエン・ツォ(Tien Tzuo)氏によると、「ユーザーがアップしたプログラムを自動的にチェックする機能がサーバ側に備わっているので、問題のあるプログラムは自動的に停止されるようになっている」とし、プログラムの不備で無限ループしてしまうバグなどは停止できるようになっているという。昨年発表したAppExchangeとの違いについて、同社 AppExchange担当バイスプレジデント マット・ホレラン(Matt Holleran)氏は「Apexはプログラム言語&プラットフォームであり、AppExchangeは、ビジネスアプリケーションを提供するマーケットプレイスという位置付けになる」と説明した。
セールスフォース・ドットコムはApexの発表に合わせて、企業支援サービス「AppExchange Incubators」を発表。AppExchange Incubatorsは、1〜2人の起業間もない小さな企業をさまざまな面でサポートするサービス。具体的には事務スペースやインターネット回線、書類、ミーティングルームなどを提供。「主にセールスフォース・ドットコム上でApexを使ってプログラムを開発したいスタートアップ企業」(ツォ氏)を対象に提供する。ツォ氏は、「シリコンバレーの企業だけでなく、京都や北海道といった従来、スタートアップ企業向けのサービスが充実していなかった場所で提供し、新たな需要を喚起したい」と説明した。
セールスフォース・ドットコムの新バージョンとなる「Winter'07」では、さまざまな改良がされた。まず、SFA機能では、ユーザーインターフェイスがAJAXベースになり、さまざまなカスタマイズができるようになった。例えば、すべてのタブを1つのスクリーン上で一目で見られるようになったほか、画面をスクロールしなくても、ホバリングするだけで詳細情報が表示されるようになった。承認機能も強化し、過去の承認履歴や承認状況を見ることができる。
Salesforce Service&Supportでは、コールセンター業務向けにカスタマイズしたコールセンターエディションを新たに用意。コールセンターエディションは、シスコやノーテルなどの主要コールセンター製品に対応・連携し、セールスフォース・ドットコムの画面上から電話応答や保留などの操作をすることができる。例えば、電話が鳴ると、担当者が受話器を取る前に、電話をかけてきた顧客に関する情報がスクリーン上に表示される。さらに、Assetタブを開くと、この顧客の購買履歴なども見ることができるようになった。
Salesforce Marketingでは、Google Adwords向けの機能を搭載。この機能は、Google Adwordsを利用したいユーザーが、登録したいキーワードやセールスフォース上で1クリック当たりのコストといった必要事項を入力すると、自動的にそのデータがGoogle Adwordsに登録されるという機能。この機能を用いることによって、Google Adwordsの管理が簡単になるほか、既存データを一括して登録したい場合などに便利だという。また、掲載した広告からどれくらいの引き合いが来たのか、どれだけの収入を得られたのかという、広告の投資対効果を「Lead Source」から知ることができる。
そのほかの特徴的な新機能にはIdeaExchangeが挙げられる。IdeaExchangeは、ユーザーがアイデアを投稿し、自由に意見交換ができる場。さらに、そのアイデアに対して、ユーザーが賛成や反対の投票をすることができる。閲覧はすべての人が可能だが、アイデアへの投票はユーザーのみを受け付ける。人気のあるアイデアは、積極的にAppExchange上で公開したり、セールスフォース・ドットコムの優先的な開発要求に加えられたりするという。
(@IT 大津心)
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米セールスフォース・ドットコム
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