KDDI、東電の光ファイバー引き継ぎで「NTTにできないサービスを実現」

2006/10/13

 KDDIと東京電力は10月12日、東京電力の光ネットワーク事業をKDDIが自社の事業に統合することで両社が合意に至ったと発表した。両社は同日、合意書に調印した。

 東京電力の光ネットワーク・カンパニー関連事業は2007年1月1日、株式交換を通じてKDDIに統合される。また、2社は光ファイバーケーブル関連工事や保守をKDDIから一括して受託する合弁会社を、2007年1月1日を目途に設立する。

 「TEPCOひかり」の利用ユーザーは、これまでどおり同サービスを利用可能。5月より両社のFTTH統合サービスのブランド名として使われている「ひかりone」は今後も継続して使われる。東京電力は今後、KDDIの接続サービスを販売しながら新合弁会社を通じてこれまでに蓄積したノウハウを提供、将来に向けては電力線通信の活用、電気の検針や省エネ制御など、電気事業との関連で新規サービスをKDDIと共同開発していく。

東京電力の取締役社長 勝俣恒久氏(左)とKDDI代表取締役社長兼会長の小野寺正氏(右)

 KDDIの代表取締役社長兼会長 小野寺正氏は、東京電力の光ファイバーケーブル資産や運用リソースを引き継ぐことについて、「エンド・ツー・エンドのサービスをきっちりできることが重要。光ファイバーケーブルを有効活用することで、NTTとは違うサービスを提供することもできる。当社の意思でネットワークが構築でき、コスト面での競争力も高まる」と話した。

 KDDIはひかりoneで、光ファイバーのアクセス網にGE-PON技術の適用を進めている。しかし、NTTにアクセス網を依存する限り、「NTTの区画内でどのようにネットワークを作るかはNTTに依存してしまう。自社のネットワークであれば、需要が少ないと見た地域については区画を大きくすることもできる。(光ファイバー資産を引き継ぐことで)NTTに支払う接続料の問題を含め、不安定な要素を排除することができる」と説明する。同社は今後、NTTのダークファイバーは基本的に借りないという。「NTTのダークファイバーを借りるよりも(自社ファイバーを使うほうが)安いのは間違いない」(小野寺氏)。また、NTTのダークファイバー使用料が今後値下がりしたとしても、自前でネットワークを所有し、運用するメリットの方が大きいという。

 新スキームの下で、「最終的には首都圏の(FTTHサービスエリアにおいて)シェア30%を達成したい」と小野寺氏は宣言した。

 東京電力以外の地域電力事業者との話し合いはこれからという。「まずこの(東京電力との)事業を成功させ、ほかの電力事業者に見せたい」(小野寺氏)。パワードコムの買収後、KDDIは全国の電力会社と電力系通信事業会社が形成しているグループ「PNJ」に参加していることから、これを足がかりに話し合いをしていきたいとしている。

(@IT 三木泉)

[関連リンク]
KDDIの発表資料

[関連記事]
KDDIがパワードコム吸収合併、NTT対抗で決断 (@ITNews)
KDDIが海を越える広域イーサネット、DION漏えいの新事実も (@ITNews)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)