HDDレス、フラッシュメモリ搭載のPC発売、富士通

2006/10/14

 富士通は10月13日、ハードディスクドライブ(HDD)の代わりにフラッシュメモリを搭載したノートPCを企業向けに販売開始すると発表した。フラッシュメモリを搭載することで耐衝撃性や省電力性、データ読み込み速度の向上を実現する。

富士通が発表した「FMV-LIFEBOOK」とフラッシュメモリディスク

 フラッシュメモリ搭載PCは、「FMV-LIFEBOOK」のB5ファイルサイズのノートPC「Bシリーズ」と、ウルトラライトタイプの「Qシリーズ」のカスタムメイドメニューとして用意する。富士通は「まずはBTOモデルで用意し、ユーザーのニーズを見たい」としている。フラッシュメモリはサムソン製の16GBと32GBを用意。1.8インチのHDDを取り外し、その部分に搭載する。インターフェイスやBIOSなどはHDDモデルと同様という。

 フラッシュメモリ搭載の狙いは「モバイル性を高めること」(富士通)だ。フラッシュメモリを載せることでHDD搭載モデルと比べてWindows XP Homeの起動が42%短縮。32秒54から18秒93になる。スタンバイや休止状態からの復帰も早くなる。ただ、データ書き込み速度はHDDと大きく変わらないという。

 HDDと異なり回転するディスクがないため、耐衝撃性も向上する。本体の重さはHDD搭載モデルと比べて75グラム軽量化。バッテリ駆動時間は最大30分延びる。

 フラッシュメモリ搭載のノートPCはソニーも発表するなど広がりが見えてきた。ただ、ネックは価格。HDD搭載モデルをフラッシュメモリ搭載タイプにするには、16GBのフラッシュメモリの場合でプラス8万円(税別、以下同)。32GBはプラス16万円だ。Bシリーズで最も低価格な「インテル Celeron M プロセッサー 超低電圧版」を搭載したモデルの場合、HDD搭載機の希望小売価格は17万3000円。16GBのフラッシュメモリにすると25万3000円となる。32GBフラッシュメモリの場合は33万3000円だ。

 Qシリーズは23万4000円で、フラッシュメモリを搭載すると16GBで31万4000円、32GBで39万4000円。価格を考えるとフラッシュメモリ搭載PCの大規模導入は多くの企業では難しい。外出先で利用することが多い営業スタッフ向けなど、特定の職種での利用から開始されるとみられる。

 富士通はまた、書き込み時にハードウェアが自動的にデータを暗号化するHDDをBシリーズのカスタムメイドメニューに追加。データ読み出し時には自動で復号化され、暗号化を意識せずにセキュリティを確保できるという。

(@IT 垣内郁栄)

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富士通の発表資料

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